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理学部長からのメッセージ

北海道大学理学部長 寺尾宏明

「なぜだろうなぜかしら」の学部

理学部長寺尾宏明

 私が小学生の頃の愛読書に「なぜだろう、なぜかしら」という本がありました。小学生から集めた疑問にやさしく答える形式で書かれた児童書でした。たとえば「なぜ空が青いの?」とか「なぜ鳥は空を飛べるの?」などの質問があったと記憶します。私は、この本のせいで、何かにつけ「なぜこうなるんだろう」「どうしてあんなことが成り立つんだろう」ということが知りたくてしょうがない子供になりました。自然現象、あるいは、数理の根本にある仕組みを知りたい、という素朴な好奇心に火がついたからです。私が、後に、理学部に進学し、数学者になったことの遠因のひとつは、この「なぜだろう、なぜかしら」に求められるのではないか、と思います。というのは、理学は、人間の強い好奇心に支えられ「なぜだろう、なぜかしら」を追求する学問だからです。理学部では、自然界や数理の世界で起こる様々な現象の根本にある仕組みを探求します。「なぜこんなことが、どうしてあんなことが起こるのだろうか?」という疑問を持つことをまず大事にし、その不思議を好奇心の赴くままに解き明かそうとすることに大きな価値を置く学部です。ですから、理学の勉強に打ち込むためには、知的好奇心は絶対に必要です。それなくして、理学の勉強はできません。しかし、一方、好奇心だけでは十分ではありません。というのは、不思議な現象を解き明かす過程では、周到な実験、辛抱強い観察、厳密な論証などの基礎的な技術の訓練が必須だからです。そして、何よりも先人の築いた知識の体系をしっかり学んで、自分のものとしなければなりません。そのため理学部では、自然科学全般にわたる基礎的な知識及び技術を体系的に学習することに重点を置いています。これらの教育は、大学院において最先端の科学を学ぶために必要な能力の開発に役立つと同時に、自然科学に対する豊かな素養を武器に、社会の様々な分野で活躍できる人材の育成にも貢献しています。
 理学部における研究は、基本的には個々の研究者の科学的な好奇心から発するものであり、応用や実用を一義的な目的とするものではありません。しかし、北大理学部の卒業生でノーベル化学賞を受賞された鈴木章先生のクロスカップリングの研究のように、当時は予想もしなかった形で、基礎研究が応用科学として大きく花開くことも少なくありません。また将来、研究に従事するか否かに関わらず、自然界における真理を広く学ぶ理学部での教育は、自分の周りで起きていることを直視し、そこに潜む法則を見抜く眼力を養います。これは、社会のあらゆる分野で共通に必要とされる重要な資質です。 

多彩な教員が教える理学部

水鳥

 北海道大学理学部は、昭和5年に北海道大学の4番目の学部として創立されました。現在、数学科、物理学科、化学科、生物科学科(生物学と高分子機能学の2学科目)、地球惑星科学科の5学科(6学科目)の編成となっています(こちらを参照してください)。北海道大学の教員は、原則としてすべて、大学院、あるいは、研究所・センター等に所属しています。理学部で教育にあたる教員は、大学院理学研究院所属の教員だけでなく、先端生命科学研究院、地球環境科学研究院、学内外の研究所・センター等の所属教員も理学部の教育を担当しています。この複雑な組織形態は、まさしく、北大理学部で自然科学全般にわたる多種多様な教育や研究が行われていることの表れなのです。

理学部で学ぶための入試は…

 北大理学部では、平成18年度から5重点選抜群(数学、物理、化学、生物、地学)での入試を実施してきました。この制度では、入試でどの選抜群を選んだかとは無関係に、入学後1年半の間は理学部生として一括した教育を受け、2年生の後期から各学科に分属します。
 平成23年度からは、この理学部での入試モデルが北大全体に広げられ、前期の理系入試では、医・歯・獣医の医療系学部は例外として、5重点選抜群(数学、物理、化学、生物、総合)による総合入試が実施され、2年生の前期から各学部に分属する体制となっています。また、特定の学部・学科への入学を希望する人は、後期入試あるいはAO入試で合格すれば、入学時点で進学先を確定することも可能です(詳細はこちらをご覧ください)。

理学部のカリキュラムは…

博物館壁紅葉

 前期、後期、AO入試を問わず、北大に入学した全員が総合教育部で1年間の全学教育を受けます。ここでは主に全学教育科目(外国語などの教養科目、数学・理科などの基礎科目等)を学習し、各学部での専門教育に向けて基礎を固めるとともに、他の専門分野や文化に触れる機会を持ち、異なる価値観を理解し、多様な発想と感性を磨きます。すなわち、分野の境界を超える幅広い知識や技術を持った専門家を求める社会の要請に応え、全学教育では多角的な視点から物事を判断できる資質をもった人材を育成するカリキュラムが組まれています。
 総合入試で合格した学生の理学部(各学科)への分属は1年時の成績をもとに行い、2年次の第1学期から、後期及びAO入試で合格した学生とともに、理学部共通科目と各学科の専門科目を学んだ上で、所定の要件を満たすと卒業できる仕組みになっています(こちらを参照してください)。
 北大理学部での教育内容は学科によって異なりますが、自然科学の全ての分野をカバーしており、学生は進学した学科以外の開講科目を幅広く履修することも可能です。北大理学部の教育目標は、以下の3点です。1)自然界の本質を見きわめ、その背景にある法則性を追求する目を養う。2)新しい理論の構築や新事実の発見に繋がる独創性を磨く。3)人類が直面する諸問題や技術革新に貢献できる基礎を身につける。

理学部卒業後の進路は…

 北大理学部の卒業生の約8割は大学院(理学院、生命科学院、総合化学院、環境科学院など)に進学します。大学院の修士課程修了者の約7割は民間会社や官公庁に就職し、3割弱は博士後期課程に進学し、大学の教員や研究所の研究員などの職に就きます(こちらを参照してください)。

広大なキャンパスで理学を学んで大きな夢をかなえよう!

中央ローン

 「将来就きたい職業は?」という小学生に対するアンケートで、「スポーツ選手」と並んで常に人気があるのは「学者・研究者」です。「不思議なことを解き明かしたい」という欲望は、人間に生来備わったものですから、それを職業とする学者や研究者に子供たちが憧れを抱くのは当然のことです。ところが残念なことに、多くの人は年齢を重ねるにつれて現実路線に傾き、夢をあきらめてしまいます。しかし、一度しかない貴重な人生、それで良いのでしょうか?子供の頃の夢を追って、本当に興味の持てることを職業とするために一生懸命に努力することは、決して無駄にはなりません。
 北大理学部には多種多様な理科(科学)や数学を学ぶ学科が存在します。全ての科学の基盤となる数学をはじめ、原子よりもずっと小さな粒子(素粒子)の振る舞いを理解しようとする極微の科学から、分子、高分子、細胞、そして私たち自身を含む生物個体とその集団(生態)の成り立ちと進化を理解しようとする科学、さらには地球を含めた惑星や太陽系についての研究といったスケールの大きい科学まで、個性豊かでロマンにあふれた様々な科学が存在します。皆さんの好奇心を満足させ、全情熱を傾けたいと思える科学が、北大理学部には必ず存在します。理科好き・数学好きな人は北大理学部に進学し、是非、それを見つけてください。
 北海道には本州では考えられないほど豊かな自然が残されています。北大を訪れる人は、キャンパス内にある多数の楡の巨木や広大な牧草地にビックリします。また、多くの水鳥の遊ぶ池もあります。日本一美しいキャンパスという評判も当然です。しかも、この北大キャンパスは、JR札幌駅から歩いて10分以内、札幌の都心部に位置しています! 大型書店、家電量販店、百貨店も目と鼻の先、まさに、日本一地の利を得た大学とも言えましょう。このような恵まれた環境の下でともに学び、皆さんの大きな夢をかなえてください。

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