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アリ脳の高次嗅覚中枢のフェロモン処理領域を発見(水波教授)

アリの脳の高次嗅覚中枢に警報フェロモンを処理するための領域があることが、東北大学(現在 北海道大学大学院理学研究院)の水波誠教授のグループにより解明され、4月7日付けで英国王立協会紀要*に発表されました。
*Nobuhito Yamagata and Makoto Mizunami (2010).
Spatial representation of alarm pheromone information in a secondary olfactory center in the ant brain. Proceedings of the Royal Society B.
  高度な社会を進化させたアリなどの社会性昆虫は,フェロモンとよばれる化学物質を用いたコミュニケーションを発達させています。たとえば,巣への侵入者を発見したアリは,警報フェロモンを放出し,仲間に外敵への攻撃を促します。
  水波教授のグループは、2006年にムネアカオオアリの脳の一次嗅覚中枢に警報フェロモンの処理に特化した小領域があることを報告していましたが、今回山方恒宏博士と水波教授は、行動の制御により深くかかわる側角とよばれる高次嗅覚中枢にも警報フェロモンの処理に特化した小領域があることを発見しました。アリの触角に警報フェロモンを与えたときに反応した脳のニューロンを蛍光色素で染色して観察すると、それらのニューロンの終末突起が側角のある特別な小領域で特に高密度で分布することが分かったのです。
MuneAkaOoari.jpg
ムネアカオオアリのコロニー(女王アリと働きアリ)
  この発見は、高度な社会を築き上げた私達ヒトの脳が言語コミュニケーションのための脳領域を持つのと同様、高度な社会を進化させたアリの脳がフェロモン・コミュニケーションのための領域を持つことを示しており、社会性を獲得する時に脳がどのように進化したかの理解に寄与するものです。
  今後の研究により,動物が社会性を獲得するとき,脳がどのように進化したかについて理解が深まることが期待されます。その結果はヒトの社会性の進化の理解につながるに違いありません。

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