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ミジンコの捕食者の存在によって発現する遺伝子の発見(宮川一志君、三浦徹准教授ら)

多くの生物はまわりの環境に応じてその形を様々に変える能力(表現型可塑性)を持っています。表現型可塑性は常に変動する自然環境下で生物が繁栄する上で非常に重要な役割を果たしています。ミジンコも表現型可塑性を利用して繁栄している生物のひとつです。ミジンコは、捕食者であるフサカの幼虫から放出される化学物質(カイロモン)を感受すると、後頭部にネックティースとよばれるトゲをつくります。ネックティースを持つミジンコはフサカ幼虫の口に引っかかり、食べられにくくなります。この現象は古くから知られていましたが、そのメカニズムは不明でした。
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ネックティースを持たないミジンコ(左)と持つミジンコ(右)
今回大学院生の宮川君、三浦准教授らのグループは、ミジンコがカイロモンを感受してネックティースがつくられる過程でどのような遺伝子が働いているかを調べました。その結果、ホルモン制御に関わる遺伝子や、節足動物が発生過程で付属肢(脚、触角など)をつくる時に働く遺伝子の発現が上昇していました。またこれらの遺伝子の発現の上昇に先立って、機能未知の新規遺伝子が発現することがわかりました。これらの発見から、ミジンコでは「付属肢をつくるメカニズム」が「ネックティースをつくるメカニズム」に流用されている可能性が考えられます。これらの結果は4月30日付けで米国の科学雑誌BMC Developmental Biologyに発表されました。
今後、より詳細な個々の遺伝子の機能の解明によってネックティース形成メカニズムの全貌の解明が期待できます。そしてさらにはミジンコだけではなく、生物が示す多様な形態の進化の理解につながることも期待できます。

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