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Y染色体消失過程の解明に成功(黒岩麻里准教授ら)

黒岩麻里准教授らの研究グループは、アマミトゲネズミを用いてY染色体消失過程の解明に成功、Y染色体がなくなってもオスが維持される仮説を新しく提唱しました(発表論文リンク)。
  哺乳類は細胞中にY染色体をもっていないとオスにはなれません。しかし、アマミトゲネズミという動物はY染色体がなくてもオスがうまれてきます。この研究では、Y染色体がどのようにしてなくなったのか、また、もともとY染色体上にあった遺伝子はどうなったのかを調べました。その結果、トゲネズミではY染色体がなくなるまでに3つのステップがあったこと、また、オスを決める性決定遺伝子だけでなく、精子を作るための遺伝子もなくなっていることがわかりました。この成果から、Y染色体がなくなってもオスが維持される新しい進化メカニズムが予想されました。
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  ヒトを含め、哺乳類はY染色体をもつと男性 (オス) になります。Y染色体は哺乳類の進化とともにどんどん短くなって、Y染色体上の遺伝子も減ってきています。このまま退化が進めば、1,400万年後にはY染色体がなくなり、男性がいなくなって人類は絶滅するという説もあります。ところが、南西諸島に生息するアマミトゲネズミ (Tokudaia osimensis) は、すでにY染色体をなくしていますが、きちんとオスがうまれます。この研究ではトゲネズミでどのようにY染色体がなくなったのか、もともとY染色体にあったオスに大事な遺伝子はどうなったのかを調べました。
  3つの遺伝子のうち、精子を作るために大事だといわれている遺伝子が、トゲネズミではなくなっていました。他の2つの遺伝子は、X染色体に移動することで生き残っていることがわかりました。ところが、この遺伝子は本来哺乳類ではオスしかもっていないのですが、トゲネズミではメスももっていて、遺伝子発現をしていることがわかりました。また、Y染色体は少なくとも3つのステップをふんで消失したことがわかりました。
  Y染色体がなくなり、さらにオスに重要な遺伝子がなくなっていても、トゲネズミではオスがうまれ精子が作られます。このことから、Y染色体がなくなっても新たなオスのための遺伝子が獲得され、オスが維持されることがわかります。つまり、Y染色体消失は男性消失には直接的につながらないことが考えられます。本研究から得られた成果は、Y染色体の進化について新しい知見を与えるものです。今後は、新しく獲得された遺伝子を発見、解析することが大きな課題となります。

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