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褐藻モデル植物Ectocarpus siliculosusの全ゲノム情報の解明

褐藻Ectocarpus siliculosus(シオミドロ)の全ゲノム情報が明らかとなりNature誌に掲載されました(Mark J. Cock et al.: The Ectocarpus genome and the independent evolution of multicellularity in brown algae. Nature 465:617-621 (2010))。
  本プロジェクトはモデル生物の選定、国際的なゲノムコンソーシアムの設立から始まり、2004年からフランス・ロスコフ臨海実験所のMark Cock博士が中心となり開始されました。日本からは北海道大学・フィールド科学センター・室蘭臨海実験所のグループと神戸大学・自然科学系先端融合研究環・内海域環境教育研究センターのグループが参加しました。
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  Ectocarpus siliculosusは長さ数cmの単列糸状の藻体です。胞子体と配偶体の世代交代、そして有性生殖は同型配偶子接合を行います。褐藻モデル植物としてEctocarpusが選定された理由は、
1)ゲノムサイズが小さい(214Mbp、コンブでは650Mbp、ヒバマタでは1000Mbpを超えます)、
2)シャーレ等を用いて実験室内で生活環を完結することができる、
3)掛け合わせ実験ができる、
4)感染ウイルスについて詳しい報告がある、
5)Mueller先生を中心とする多方面からの論文報告があることが理由でした。
  地球の7割を占めている海洋における主要な一次生産者である珪藻類や褐藻類といった不等毛藻類(黄色植物)の重要性は言うまでもありません。今回の全ゲノム解析は大きなインパクトを持って世界に受け入れられるはずです。ただ、今後早急に解決すべき大きな問題があります。その一つは、褐藻では遺伝子導入系が未だに開発されていない点です。今後若い方々が果敢にチャレンジしてくれることを希望しています。
  ところで、今回の論文のタイトルの中に多細胞体制の進化という言葉が入っています。室蘭臨海実験所では褐藻の細胞分裂の微細構造について長年研究してきました。現在もロスコフ臨海実験所のグループと共同研究を継続していますが、培養によるEctocarpusの形態形成制御と細胞微細構造とゲノム情報がうまくミックスされた形で研究が進んでいくと思っています。
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