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「リスクを求めるシジュウカラ、嫌うヤマガラ」 松島研究室(行動知能学)

松島研究室(行動知能学)から、シジュウカラが際立ってリスクを好む、自然のギャンブラーである、という発見を報告した論文が発表されました。(Animal Behaviour誌、2012年8月25日on line)
人を含めて多くの動物は経済的リスクを嫌い、安全な選択肢を取ろうとします。選ぶたびに、訪れるたびに、得られる収益(エサ)が変わるような、そのようなリスクを嫌います。従来、自然にはギャンブラーはおらず、リスクを求める行動は例外的な状況だけで起こると考えられてきました。
 川森愛博士(2012年3月に生命科学院にて博士号取得:現在は、総合研究大学院大学・葉山キャンパス・生命共生体進化学にて博士研究員)は、北大の札幌キャンパス内で許可を得て捕獲した3種類のカラ類近縁種について、リスク感受性と食性を詳細に検討しました。その結果、ヤマガラは植物食性に偏り、リスクを回避する選択を取るのに対し、シジュウカラは動物食性(昆虫など)に偏り、リスクを選好することが判りました。食性については、野外で捕獲した野鳥の血液サンプルの安定同位体比解析を行いましたが、実験室内の行動実験と一致した結果が得られました。
従来、ヒメユキドリを対象とする行動研究(Caraco et al. 1980)によって、エネルギー備蓄量が不足している時のみ、リスクを求める行動が起こる、と報告されています。これは例外的な状況で、本来的にリスク志向を示す動物の報告は、極めて稀です。今回発見されたリスク選好性は備蓄則では説明がつかず、餌資源をめぐる種間の競争の結果として進化したものだと考えられます。冬の厳しい季節、北海道のカラ類は異種混群をつくり、集団でエサを漁ります。しかし、エサの量は有限です。体の大きいヤマガラが安全な植物(種や芽)を独占し、小さなシジュウカラ・ハシブトガラなどを圧迫して、リスクの高い虫のエサに追いやったと考えられます。
 経済的意思決定を理解するために進化や生態の理解が不可欠であることを、この研究は示しています。
BirdFig.jpg(作図:岩間翠さん、生命科学院修士1年(相馬研究室)

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