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精子形成におけるプロテアーゼ機能の一端を明らかにしました(木村研)

 木村研究室では遺伝子の調節とともに精子形成についても研究を行っていますが、このたび精子形成についての論文が発表されました。論文は、博士課程の米田竜馬さんを筆頭著者として、生殖生物学の専門誌Biology of Reproductionの2013年5月号に掲載されています。
 精子はどのようにしてつくられるのでしょうか?精子のもとになる細胞が減数分裂と精子変態という2つの過程を経て精子になることは古くから知られていますが、それに関わる分子についての理解は、実はあまり進んでいません。今回米田さんは、精巣だけに発現している3つのプロテアーゼ(タンパク質分解酵素)Tessp-2、Tessp-3、Tessp-4に注目して、その精子形成における役割を検証しました。
 まず、これら3つの遺伝子の詳細な発現パターンを調べたところ、それらのmRNAはいずれも精母細胞と呼ばれる細胞にのみ発現していましたが、3つのタンパク質は互いに異なる局在を示したのです。このことから、生物進化の過程で祖先遺伝子が重複してできた兄弟のような3つの遺伝子(パラログといいます)は、それぞれ異なる機能を持つことが示唆されました。
 次に、3つのプロテアーゼのうちそのタンパク質が細胞膜に局在していたTessp-2とTessp-3の機能を調べるために、精巣を器官培養しました。この培養系では減数分裂が進行するのですが、培養液に抗Tessp-2抗体や抗Tessp-3抗体を添加したところ、減数分裂が途中で停止してしまいました。しかも、アポトーシス(プログラム細胞死)を起こす生殖細胞の割合が劇的に増加したのです。このことから、Tessp-2とTessp-3は減数分裂が進行する際に、生殖細胞の生存に必須であると考えられます。もしかしたら、Tesspは生殖細胞の周りを取り囲む細胞外マトリクスと呼ばれる物質や、セルトリ細胞と呼ばれる哺育細胞と生殖細胞との結合を分解するのかもしれません。
 今回の成果は、これまでほとんど調べられてこなかった減数分裂におけるプロテアーゼ機能の一端を明らかにしたもので、精子形成メカニズムの全容解明に役立つことが期待されます。

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マウスの精巣切片(ヘマトキシリン・エオシン染色)

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