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植物の生活史研究から芽生えた地方自治体との絆

生態遺伝学系の大原研究室では、さまざまな野生植物を対象にその生活史(生き方)研究を進めることにより、その植物が多様な環境(生物的・物理的)に適応して進化してきたことを明らかにしてきました。

そして、10年前からこれまでの研究で得られた成果を基盤として、環境保全の取り組みとして地方自治体と一緒に、「環境教育」を実施するようになりました。その1つの事例が十勝の広尾町で実施しているものです。広尾町のシーサイドパークには、オオバナノエンレイソウの大群生地があり、その群落の保全のための環境教育です。

具体的には、広尾町の小中学生を対象として、5月の開花期に、講話とオオバナノエンレイソウの野外観察会を実施し、種子から開花に至るまで10年以上の年月がかかること、群落には実生個体から開花個体までのさまざまな生育段階の個体が存在すること、受粉や種子散布に関わる昆虫たちの役割などを理解してもらいます。この事業は、広尾町管内に着任された新任の先生方にも行っています。

そして、7月の結実期には、中学生にオオバナノエンレイソウの果実を観察してもらいます。シーサイドパークは、現在もオオバナノエンレイソウの大群生地ですが、群生地内には、オートキャンプなどで人為的に群落が破壊された部分も多くあります。その破壊された場所は、自然の力だけでは回復しないため、自然を再生するために、中学生に果実を採集してもらい、種を人工的に播種する作業を実施しています。種子から開花まで10年以上かかる長い先を見つめた作業ですが、「破壊は一瞬、再生は一生」を合言葉に、広尾町と一緒に頑張っています。

このように、研究に端を発した広尾町とのお付き合いでしたが、その絆はさらに強まり、今では、研究の枠を超え、研究室の学生、大学院生たちが中学生の夏休みの「サポート学習」を実施するようになりました。そして、8月には中学3年生の修学旅行の研究室見学の受け入れ、10月には、再び中学校に伺い、研究室の学生、大学院生たちが、自らの中学生時代から現在に至までの自分の体験記を語る「進路講話」を予定しています。

このような活動は、広尾町に限らず、富良野市、興部町、遠軽町、様似町などでも実施していて、北海道新聞や十勝毎日新聞でも紹介されるようになっています。このように地方自治体との活動は、研究室の学生たちにとっても貴重な体験となっており、これからも幅広く、末永く続けていきたいと思っています。

オオバナノエンレイソウ(広尾1)

広尾町のオオバナノエンレイソウ

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広尾町管内の新任教員への講話のようす

 

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