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古代魚のミネラルコルチコイド受容体の単離

生殖発生生物学系の勝義直教授のグループが、ホルモン受容体の進化に関する重要な発見を論文発表しました。北海道大学のプレスリリースでも紹介されていますが、以下は勝先生ご本人による解説です。

 

ヒトの内分泌制御を司るステロイドホルモンは、主に生殖腺から分泌される性ステロイドと副腎で生合成される副腎ステロイドに大別され、受容体を介して生理機能を発揮します。ヒトの副腎ステロイドの受容体は、グルココルチコイド受容体とミネラルコルチコイド受容体の2種類が判明しており、生体内の恒常性を維持するために多彩な生理機能を有し、また疾患との関連も報告されています。私たちの研究グループは、ステロイドホルモン受容体の分子進化の解明に取り組んでいます。今回、古代魚であるガーとチョウザメから世界に先駆けて副腎ステロイドの受容体であるミネラルコルチコイド受容体遺伝子の単離に成功しました。ミネラルコルチコイド受容体はホルモン依存性の転写調節因子であることから、そのホルモン応答性を調べました。その結果、ヒトのミネラルコルチコイド受容体とはホルモン応答性が異なることを明らかにしました。黄体ホルモンであるプロゲステロンはヒトのミネラルコチコイド受容体に対してアンタゴニストの活性を示しますが、古代魚のミネラルコルチコイド受容体に対してはアゴニストの活性を示しました。さらに、抗アルドステロン薬の一つであるスピロノラクトンはヒトのミネラルコルチコイド受容体のホルモン応答性を阻害しますが、古代魚の受容体はスピロノラクトンによって転写活性が刺激されることが判明しました。これらの成果は、ミネラルコルチコイド受容体の分子進化を解明する上で重要な知見を提供します。本研究は、北海道大学大学院水産科学研究院の足立伸次教授、及びカリフォルニア大学サンディエゴ校のMichael E. Baker 博士との国際共同研究により行われました。

チョウザメ-加工済

 

発表論文: Sugimoto A., Oka K., Sato R., Adachi S., Baker M.E., and Katsu Y. (2016) Corticosteroid and progesterone transactivation of mineralocorticoid receptors from Amur sturgeon and tropical gar. Biochemical Journal (http://www.biochemj.org/content/473/20/3655)

 

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