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本学科生まれのアフリカツメガエルのゲノム構造がNature誌に報告されました!

本学科の卒業生である宇野好宣博士をはじめとする多くの日本人研究者が中心的役割を果たしたアフリカツメガエルのゲノム解読に関する論文がNature誌に掲載され、雑誌の表紙を飾りました。北海道大学からも福井彰雅博士が参加して、プレスリリースとして発表されています。ゲノム配列を決定するためには通常、近交系と呼ばれる20代以上にわたって近親交配を続けてきた集団系統動物を使う必要がありますが、今回はなんと本学科で作出されたアフリカツメガエルの近交系が使われたということです。以下、共同筆頭著者になっている宇野博士による解説です。

 

多くの動物は二倍体ですが、アフリカツメガエルは、祖先種2種の異種交配と全ゲノム重複により一つの生物の中に異なる2種類のサブゲノムをもった「異質四倍体」と考えられてきました。そのため、非常に有用なモデル生物であるにもかかわらず、全ゲノム解読は非常に困難であり、長い間諦められていました。

当学科の卒業生(平成18年3月卒業、平成23年3月大学院生命科学院卒業、現所属は名古屋大学研究員)の宇野好宣博士と松田洋一博士(平成21年3月まで当学科に教授として在籍、現所属は名古屋大学教授)、そして北海道大学・先端生命科学研究院・准教授の福井彰雅博士を含む日本とアメリカの合同プロジェクトにより、異質倍数体であるアフリカツメガエルの複雑な全ゲノムの解読に成功しました。さらに本プロジェクトでは、本学科に在籍していらした片桐千明博士と栃内新博士が1973年から独自に作出された、アフリカツメガエル唯一の近交系である「J系統」個体を用いて行われました。宇野好宣博士と松田洋一博士のグループは、FISH法を用いて、798個のゲノムDNA断片(BACクローン)がアフリカツメガエルの染色体18対のうちどの染色体に対応するかを調べました。それにより、アフリカツメガエルの高精度な全ゲノム配列を解読することに成功しました。さらに異質倍数体のアフリカツメガエルのゲノムの中に存在する、2種類の祖先種由来のゲノム(サブゲノム)が別々の染色体のセットに分かれて存在するという重要な発見をしました。それにより、アフリカツメガエルは約1800万年前に、2つの種が異種交配と全ゲノム重複を起こして誕生した異質四倍体であること、その後2つのサブゲノムが一つの生物の中で異なる進化を辿ったことが明確に示されました。

今日の地球上には実に多様な種類の脊椎動物が生息し繁栄していますが、その最大の要因と考えられるのが約5億年前の古生代カンブリア紀に起きたとされる「2回の全ゲノム重複」です。本研究成果により明らかとなったアフリカツメガエルのサブゲノムの進化の仕組みは、この謎を解くための重要な鍵、いわゆるロゼッタストーンとして役立つことになります。

詳細な内容は、東京大学や遺伝学研究所、名古屋大学、北海道大学など日本の16の機関で合同作成した共同プレスリリースをご確認ください。また、栃内新博士のブログでも丁寧に解説していただいています。ご参照ください。

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異質四倍体のゲノムをもつアフリカツメガエル(上)と二倍体のゲノムをもつ近縁種のネッタイツメガエル(下)。この2種は、両生類無尾目(カエル目)ツメガエル属に属しており、4800万年前に分岐している。ネッタイツメガエルは、ツメガエル属で唯一、二倍体ゲノムをもった現存種である。(広島大学・鈴木厚 博士提供)

 

発表論文: Session AM*, Uno Y*, Kwon T*, Chapman JA, Toyoda A, Takahashi S, Fukui A, Hikosaka A, Suzuki A, Kondo M, van Heeringen SJ, Quigley I, Heinz S, Ogino H, Ochi H, Hellsten U, Lyons JB, Simakov O, Putnam N, Stites J, Kuroki Y, Tanaka T, Michiue T, Watanabe M, Bogdanovic O, Lister R, Georgiou G, Paranjpe SS, van Kruijsbergen I, Shu S, Carlson J, Kinoshita T, Ohta Y, Mawaribuchi S, Jenkins J, Grimwood J, Schmutz J, Mitros T, Mozaffari SV, Suzuki Y, Haramoto Y, Yamamoto TS, Takagi C, Heald R, Miller K, Haudenschild C, Kitzman J, Nakayama T, Izutsu Y, Robert J, Fortriede J, Burns K, Lotay V, Karimi K, Yasuoka Y, Dichmann DS, Flajnik MF, Houston DW, Shendure J, DuPasquier L, Vize PD, Zorn AM, Ito M, Marcotte EM, Wallingford JB, Ito Y, Asashima M, Ueno N, Matsuda Y, Veenstra GJ, Fujiyama A, Harland RM, Taira M, Rokhsar DS. (2016) Genome evolution in the allotetraploid frog Xenopus laevis. Nature 538: 336–343.(*は共同筆頭著者)(http://www.nature.com/nature/journal/v538/n7625/full/nature19840.html)

 

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