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ニワトリ胚の卵巣発達には男性ホルモンが重要

生殖発生生物学分野の黒岩麻里教授のグループが、ニワトリの卵巣発達と男性ホルモンの関係について明らかにしました。以下、黒岩先生による解説です。

 

男性(雄性)ホルモンは、オスらしさをつくるために重要な働きをもちます。ニワトリにおいても、トサカや骨格筋の発達、生殖や行動などのオスらしさをつくることがわかっています。しかし、卵から雛がかえるまでの胚の時期における男性ホルモンの働きは、不明な点が多く残されていました。そこで黒岩教授のグループは、RNA干渉と呼ばれる方法を利用して、男性ホルモンの働きを阻害するノックダウン実験を行いました。男性ホルモンは、男性ホルモン受容体と呼ばれるタンパク質に受け取られることではじめて働くことができます。黒岩教授らは、受容体遺伝子に対するノックダウン実験により受容体の産生を抑え、受容体を減少させることで男性ホルモンの機能阻害を起こすことに成功しました。ノックダウンしたオスの胚では、精巣は正常に発達し、特に大きな変化は見られませんでした。ところが、メスでは卵巣の形態に異常が見られました。このことから、胚の時期に男性ホルモンが正常に働くことができないと、将来的にメスの産卵に影響を与えることが示唆されました。本研究の意義は、胚の時期における男性ホルモンの働きがオスではなくメスの卵巣発達に重要であること、胚の時期の男性ホルモンが後のメスの産卵に影響を与える可能性があることを明らかにした点です。鶏卵は世界的に広く食用とされています。本研究の成果は、鶏卵産業に有用な基礎情報を提供することができます。

なお、この論文は2014年に大学院生命科学院を卒業して就職した、当学科出身の田中龍馬さんの修士課程における研究成果をまとめたものです。田中さんご本人も大変喜んでいるとのことです。

田中さん(左)と黒岩教授(右)

 

発表論文:  Tanaka R, Izumi H, Kuroiwa A. (2017)  Androgens and androgen receptor signaling contribute to ovarian development in the chicken embryo. Molecular and Cellular Endocrinology (in press) (http://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S0303720717300126)

 

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