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葉の形態形成に関わる新規糖応答性転写因子bZIP3の発見

形態機能学系の山口・佐藤研究室では、大学院生の眞木美帆さんを中心とした研究で、植物の糖シグナル系で機能する新規の転写因子を発見してその機能解析を行い、論文発表しました。以下、著者による解説です。

 

糖は生物の基幹代謝を支える栄養素であり、また生物個体の成長や発達を制御する重要なシグナル分子としても機能します。植物においては、糖シグナルが花芽の形成(花成)や根の伸長といった生命現象を制御することが明らかになり注目を集めています。近年、包括的な解析によって、糖シグナル伝達経路とその構成因子がいくつか提案され、転写因子による遺伝子発現制御が大きく貢献することが分かってきました。しかし、その複雑さから、糖シグナル伝達系の詳細な分子機構は依然としてあまり理解されていません。

私達はモデル植物シロイヌナズナを用いて、新規の糖応答性転写因子を探索し、機能未知の転写因子bZIP3を同定しました。bZIPファミリーは、ロイシンジッパー型の転写因子として、ホモあるいはヘテロ二量体を形成し、標的遺伝子の発現を制御することが知られています。遺伝学的解析から、bZIP3遺伝子発現が糖によって抑制されること、糖シグナル伝達経路の中核を担うSnRK1キナーゼ(哺乳類AMPKホモログ)の制御下にあることが分かりました。さらに、興味深い表現型として、bZIP3変異株では子葉の反り返りといった、葉の形態に異常が見られました。これは、糖応答性転写因子bZIP3が植物の糖シグナルと形態形成をつなぐ新たな因子である可能性を示唆しています。今後は、転写因子bZIP3の標的遺伝子の同定やbZIP3機能制御の生化学的な解析を実施することで、植物の成長戦略における糖シグナル伝達系の新たな一面を明らかにしたいと考えています。

本研究は、産業技術総合研究所および埼玉大学との共同研究として実施されました。また、第一著者の大学院生・眞木美帆さんは、平成29年度北海道大学大学院生命システム科学コースの「学会等出席促進事業」の支援を受けて、本研究成果の学会発表を行いました。

 

発表論文: Sanagi M, Lu Y, Aoyama S, Morita Y, Mitsuda N, Ikeda M, Ohme-Takagi M, Sato T and Yamaguchi J (2018) Sugar-responsive transcription factor bZIP3 affects leaf shape in Arabidopsis plants. Plant Biotechnol. in press (https://doi.org/10.5511/plantbiotechnology.18.0410a

 

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