研究概観

素粒子物理学とは、物質とそれに働く力の基本構造を明らかにする学問です。 地上実験のエネルギースケールでは、素粒子標準模型が実験を非常によく説明していることが知られています。

しかし、宇宙の観測等を説明するには素粒子理論は未だ不完全です。 1つは、宇宙全体のエネルギーの1/4を占めると思われる暗黒物質が、素粒子標準模型には含まれていません。 また、ビッグバン宇宙論で必要とされるインフレーションを引き起こす場が含まれていません。 さらに、現在ニュートリノには質量があることが知られていますが、その起源については未解決です。 そして最も重要なことは、私たちにとってなじみのある重力の量子論的な記述が未だになされておらず、おそらくそれと関係して現在のエネルギーの70%を占める、暗黒エネルギーの正体が不明であることです。 ブラックホールにもまだまだ解明されていない問題も多くあります。

こうしたことを解明するアプローチとして、超弦理論のように理論の整合性から説明しようとするアプローチと、素粒子標準模型をより自然に高エネルギーに拡張していこうとするアプローチとがあります。 これらのアプローチは、自然と宇宙の発生や進化と関係していきます。未知の粒子があると宇宙の進化を変更するのです。 そのため、宇宙の進化も素粒子物理学と共に研究されることになります。

本研究室ではこのような素粒子論、宇宙論を理論的に研究しており、これらを学ぶ学生達はには根本から考えなおしていく批判的思考力だけでなく、 他と異なるアプローチから研究を企画する、課題発見力、企画力の鍛錬が求められます。

 



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