松前群発地震





この地域では、1995年10月1日から群発地震が発生した。この地域には以前にこのような群発地震は発生しておらず、注目された。この活動で最大の地震は11月23日に発生し、松前で震度4を記録した(M4.4)。
北大地震センターでは、この活動が発生した時点では、松前周辺には地震観測点がなく、急きょ10月6日に松前小学校に地震計(KKM)を設置した。更に、11月15日には赤神地区(GAM)・松城地区(ATM)に地震計を設置して観測を強化した。




図1は活動が開始した95年10月1日から96年11月16日までの地震活動を示している。この図の震源は、当センターの観測点と弘前大学・東北大学のデータ交換されている観測点を用いて当センターで震源決定されたものである。震源分布は水平方向には、北東ー南西方向に分布しているように見える。図3はN-S(南北)断面に投影した時系列分布であるが、この図から地震の震源が時間経過とともに相対的に南の方へ移動しているのがわかる。また、図4からKKM観測点で観測された地震のP-S時間が長くなっていることが見てとれる。




図5では、深さ方向についての時間変化を示しているが、95年11月15日を境に急激に震源が浅くなっているように見えるが、これは観測点が増えたことによる人為的な影響と思われ、むしろ11月16日以降を見ると震源が深くなって行くように見える。図3ー5で、地震が抜けている部分は観測点故障によるものである。
この震源の移動は95年5月ころからは止まっているように見える。また、地震の数も減少してきている。
図2は、最近3カ月(96.8.1-96.11.16)の地震を示している。松前沖の地震は減少しているが、96年11月から七つ岳付近に地震が発生している。

参考文献
小菅正裕、田中和夫、1995年松前沖群発地震のメカニズム解、東北地域災害科学研究、第32巻(1996)、275-283
札幌管区気象台地震速報(1995)