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オイラーの公式

この定理から、有名なオイラーの公式が導かれる。 オイラーの公式すべての実数$ x$について、

$\displaystyle \exp (ix) = \cos x + i \sin x$ (7)

但し、$ i$は虚数単位$ \sqrt{-1}$である。実は、すべての複素数についてこの公 式は成立する。 まず、$ e^x$は実解析関数である。$ e^x$$ x=0$まわりにテイラー展開する と、

$\displaystyle e^x = 1 + x + \DF{x^2}{2!} + \DF{x^3}{3!} + \cdots$ (8)

となり、第$ n$項の係数は $ \DF{1}{n!}$である。ダランベールの収束判定より、 $ \displaystyle\lim_{n\rightarrow\infty}
\sup_{k\leq n}\left\{\sqrt[k]{\DF{1}{k!}}\right\}=0$であるから、収束半径 は$ \infty$である。よって、$ e^x$は実解析関数である。同様に、$ \cos x$およ び$ \sin x$は、

$\displaystyle \cos x = 1 - \DF{x^2}{2!} + \DF{x^4}{4!} +\cdots$    および $\displaystyle \sin x = x - \DF{x^3}{3!} + \DF{x^5}{5!}\cdots$ (9)

と展開できて、ともに収束半径が$ \infty$であるから実解析関数である。 $ \cos x$の展開の右辺に$ \sin x$の展開の右辺の$ i$倍を加えると、 $ 1 + ix - \DF{x^2}{2!} -i\DF{x^3}{3!} + \DF{x^4}{4!} +\cdots$となる。 これは、$ \exp(ix)$$ x=0$まわりに展開したものと等しい。$ e^x$$ \cos x$、 および$ \sin x$は、実解析関数であるから、一致の定理より、オイラーの公式は 証明された。

複素数(以下、$ \ve{C}$とする)についてもオイラーの公式は成立する事から、 任意の $ z\in \ve{C}$に対し、 $ e^{iz}=\cos z+i\sin z$である。従って、

$\displaystyle \cos z = \DF{e^{iz}+e^{-iz}}{2}$   , $\displaystyle \sin z = \DF{e^{iz}-e^{-iz}}{2i}$    および $\displaystyle \tan z = \DF{\sin z}{\cos z}$ (10)

ここで双曲線関数を三角関数の対として定義する。 双曲線関数

$\displaystyle \cosh z = \DF{e^{z}+e^{-z}}{2}$   , $\displaystyle \sinh z = \DF{e^{z}-e^{-z}}{2}$    および $\displaystyle \tanh z = \DF{\sinh z}{\cosh z}$ (11)

三角関数と双曲線関数の性質を対にして記述すると、
$\displaystyle \cos^2 z + \sin^2 z = 1$  に対し  $\displaystyle \cosh^2 z -\sinh^2 z = 1$ (12)
$\displaystyle (\sin z)' = \cos z$  に対し  $\displaystyle (\sinh z)' = \cosh z$ (13)
$\displaystyle (\cos z)' = -\sin z$  に対し  $\displaystyle (\cosh z)' = \sinh z$ (14)

である。また、三角関数と双曲線関数との間には、 $ \cosh z=\cos(iz)$および $ \sinh z=i\sin(iz)$という関係がある。

オイラーの公式は、また、三角関数の様々な基本公式を容易に導き出すのに有効 である。ここでは、 $ e^{i\pi/2}=i$および $ e^{i\pi}=-1$を使う。

負角の公式 $ \cos (-x)=\cos x$および $ \sin (-x)=-\sin x$ $ e^{-ix}=\cos (-x)+i\sin (-x)$であり、 $ e^{-ix}=\cos x-i\sin x$

補角の公式 $ \cos (\pi-x)=-\cos x$および $ \sin (\pi-x)=\sin x$ $ \cos (\pi-x)+i\sin (\pi-x)=
e^{i(\pi-x)}=e^{i\pi}e^{-ix}=-\cos x+i\sin x$

余角の公式 $ \cos (\pi/2-x)=\sin x$および $ \sin (\pi/2-x)=\cos x$ 補角の公式同様、 $ e^{i(\pi/2-x)}=e^{i\pi/2}e^{-ix}=i\cos x+\sin x$

加法定理 $ \cos (x+y)=\cos x\cos y-\sin x\sin y$および $ \sin(x+y)=\sin x\cos y+\sin y\cos x$ $ e^{i(x+y)}=\cos(x+y)+i\sin(x+y)$であり、 $ e^{i(x+y)}=e^{ix}e^{iy}
=(\cos x+i\sin x)(\cos y+i\sin y)=\cos x\cos y-\sin x\sin y
+i(\sin x\cos y+\sin y\cos x)$

$ \sin$$ \cos$の相補関係 $ \cos^2 x+\sin^2 x=1$ $ 1=e^{ix}e^{-ix}=(\cos x+i\sin x)(\cos x-i\sin x)=\cos^2 x+\sin^2 x$

三角関数の微分 $ (\cos x)'=-\sin x$および $ (\sin x)'=\cos x$ $ (\cos x)'+i(\sin x)'=(e^{ix})'=ie^{ix}=-\sin x+i\cos x$。また、 $ ie^{ix}=e^{i(x+\pi/2)}$より、微分すると位相を$ \pi/2$戻す。


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Masaru Inatsu
平成17年11月30日