アフリカツメガエルはとても丈夫ですが、たまに病気になります。一般的にはストレスが多いカエルほど病気になりやすいと言われており、ストレスとして過密、過度の接触、水質の悪化などが考えられます。このことから、低密度できれいな水で飼育し、実験をするにしても無理な負担をかけないようにすることが一番の予防であるとわかります。それでも数百匹も飼育していると病気にかかってしまう個体が出てしまいます。そのような時はその個体だけを隔離し、生理食塩水中で飼育するようにしています。研究室によってはゲンタマイシンなどを使用しているようです。しかし、一番大事なのはどうして病気の個体が出てしまったのかを探ることではないでしょうか。
カエルには色々な病気がありますが、調子の悪いカエルは以下の兆候を示すことが多いようです。まず健康なカエルは普段水槽の底にいることが多いですが、病気のカエルは浮いていることが多いです。これらのカエルは人が近づくと潜ろうとしますがすぐに浮いてしまいます。他にも調子が悪い時や水質が悪い時はずっと暴れていることがあります。体力の続く限り水槽から抜け出そうと泳ぎ続けていることもあります。より細かい症状としては、激しい皮膚の脱落、震え、生傷、体の膨張や吐血や下血などを見たことがあります。
これは私の個人的な考えになってしまいますが、上記の症状があらわれたときはかなり病気が進行してしまっていると思います。ヒト以外の動物は言葉がないので体調が悪いことを伝えることができませんし、野生動物は食うか食われるかの世界なのでできるだけ体調が悪いことは隠そうとすると思います。ヒトでは病気が一目見てすぐわかるほど悪化することは滅多にありませんが、カエルの場合は残念ながらほとんどがそうなってしまいます。少しでも早く気づくためには毎日の観察が大切でしょう。病気が表にあらわれていなくても犯されている水槽のカエルは他の水槽のかえるに比べて少しずつ痩せていっていることが多いようです。
私達には獣医の知識はないので病気にかかったカエルの大半は治癒させることができませんが、できるだけの事はするようにしています。以下に最近当研究室で発生した病気を示します。現在のところ病気にもよりますが1割くらいの可能性で完治させることができているくらいです。見ていて辛くなるような個体は安楽死させることにしています。
かさかさ病
症状:体色が灰色になり、皮膚がかさかさしてくる。皮膚の脱落が著しく増加し、体重も著しく減少する。
処置:これは自分で確認したことはないのですが、線虫が原因だそうです。皮膚を引っかくと線虫を確認できるそうです。この症状は大抵腿から出始めるのですが、初期のうちに見つければ0.1g/lチアベンダゾール水溶液で1日飼育した後、普通のきれいな飼育水で飼育するようにすれば治癒できるそうです(したことがない)。私は完治させたことがありません。この病気は伝染性が高いのですぐに隔離しましょう。福岡女子大の弓削研究室のサイトに治療法が公開されています。
レッドレッグ(赤い足)
症状:皮膚、特に四肢からの出血、皮下に浮腫、四肢から始まる震え
処置:この病気は気づくのが遅いと水槽内のカエルが全滅する可能性があります。一般的には100mMの食塩水に100ugのオキシテトラサイクリンを加えた水中で1週間飼育するそうです。他にも抗生物質(テトラサイクリン:1mg/体重5gあたり)を飲ませる方法もあります。私はこの方法ではなく、毎日70%エタノールで傷口を消毒することにより治癒させることができました。この病気にかかったら毎日水を換え、少しでもおかしい個体は隔離しましょう。
風船病
症状:体中がパンパンに膨れる
処置:この病気はそれほどうつらない気がします。治癒しようとして完治したことはありませんが、放っておいて完治した個体はいます。また、たまに針で皮下にたまった水を抜くようにするとかなり長い間もちます。この病気の原因は知りませんが(腎臓系?)、死因は体内の圧力が原因かもしれません。そうであるなら水を抜いていれば死なないはず…?弓削研究室のサイトに治療法が公開されています。
出血
症状:吐血、下血、皮膚からの出血
処置:この病気は見ていて恐かったです。アルビノにしかかからなかったのですが、吐血と下血と皮膚からの出血が止まらなくなり、血の気が失せて失血死してしまいます。この病気が発生した水槽で生き残った個体はほとんどいなかったので伝染率は高いと思います。この病気は治るのでしょうか?
かび
症状:傷口などから白い糸が伸びている
処置:ピンセットで取り除いてから熱帯魚用の薬剤を使用する。ある程度なら自分で治癒できるようです。
逃亡(病気ではない?)
アフリカツメガエルは完全に水生なので、長時間水から出ていると乾いて死んでしまいます。我々もたまに床に逃げ出したカエルを見つけることがありますが、その場合は急いで水を浅く入れた水槽に入れます。あまりにも乾いていた場合は助かりませんが、死んでいると思ってしまうくらい動かない個体でも助かる場合があります。できれば食塩水のほうが良いようです。
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