動物とはどこが違うのか。植物細胞の増殖と分化の制御そしてその能力について様々な角度から研究を進めています。

植物はなぜ再生能力や全能性に優れているのでしょうか。また植物細胞はあたかも無限に分裂するにも関わらず、なぜガンにならないのでしょうか。これら植物細胞が秘めるすばらしい能力を、私たち動物細胞に応用することができないものでしょうか。
 植物は一次生産者として“宇宙船地球号”を支え、癒しを与え、私たちになくてはならないパートナーです。そんな植物は、まわりの環境変化をどのように感じ、応答し、成長しているのでしょうか。またこのような発生プログラムや環境適応機構は進化の過程でどのように獲得され、今後どのように変化していくのでしょうか。
 私たちは、植物に特有の発生や環境適応機構を研究し、植物がもつ優れた能力を多く発見したいと考えています。植物がどのように細胞の増殖と分化を制御しているのかを明らかにし、さらに植物の細胞運命を自在にコントロールできるようになることを目標に、このような問題の解決に挑みます。
 さらに植物に特有の環境適応機構を研究し、植物がもつ優れた環境ストレス耐性機構を発見し、環境応答と植物の発生プログラムのクロストークを明らかにしていきます。植物の環境応答と発生のクロストークの研究は、悪環境下でもたくましく成長し続けることができる“スーパー植物”の開発も大切なゴールの1つです。
 こうした植物の研究は、現在私たちが直面しているさまざまな社会問題の解決にもきっと役立つはずです。同じ目的を持った仲間とともに楽しく、充実した研究生活を過ごし、あなたの力を科学や社会の発展に役立てるための素地をともに築いていきましょう。
現在進行中のテーマ、あるいは研究可能なテーマなどを例示していますが、相互に深く関わっているものが多いです

1. 植物の増殖・分化、再生、分化全能性の制御を調べる

植物の増殖・分化、再生、分化全能性の制御を調べる

  • 植物細胞の極性形成、不等分裂のメカニズム
  • タンパク質の非対称分配のしくみ
  • 細胞分化のメカニズム
  • 細胞周期の可視化により、細胞増殖と細胞分化のシグナル制御を解明する
  • クロマチン構造の変化と幹細胞化、細胞分化の関わり。
  • 新規細胞周期因子の機能解析
  • 極性を制御するGタンパク質シグナル因子、新規極性ランドマーク候補因子、極性制御転写因子の機能解析。
  • 細胞外マトリクス(細胞壁タンパク質)が細胞骨格を介して細胞形態、細胞極性を制御するメカニズムの研究
  • 細胞極性、不等分裂における液胞の機能解析
  • 植物の幹細胞形成、維持のメカニズム
  • 植物細胞の無限成長、不死化のメカニズム
  • ストレスにより細胞極性が破壊される分子機構

研究内容をより詳しく

2. 多細胞化の仕組みをさぐる

多細胞化の仕組みをさぐる
  • 原形質連絡を介した細胞間コミュニケーションをマイクロインジェクションや光変換蛍光タンパク質を用いて進めています。
  • 原形質連絡を介した細胞間相互作用を制御する新規分子のスクリーニング
  • 環境ストレスに応答した細胞間コミュニケーションの動的な変動の分子制御機構の解明
  • 細胞外マトリクス(細胞壁タンパク質)が外部環境を感知して、そのシグナルを細胞内部に伝達する分子メカニズムの研究

研究内容をより詳しく

3. 植物形態の進化多様性の仕組みを解く

植物形態の進化多様性の仕組みを解く
  • 植物ホルモン作用の進化 ーアブシジン酸やオーキシン制御ネットワークの進化
  • シュート形態の進化多様性 ーオーキシン極性輸送の多様性
  • 胞子体の進化多様性 ー胞子体と配偶体における細胞周期制御の普遍性と多様性

研究内容をより詳しく

4. 環境応答と発生プログラムのクロストークの分子機構解明 —極限環境下でもよく育つ植物の開発を目指してー

環境応答と発生プログラムのクロストークの分子機構解明 —極限環境下でもよく育つ植物の開発を目指してー
  • アブシジン酸シグナルと細胞周期、増殖、分化制御プログラムのクロストークの解明と制御
  • 細胞周期制御因子がストレス応答や環境情報を制御する分子機構
  • 環境ストレスによる細胞分裂様式の切り替え(不等分裂と等分裂のスイッチ)と細胞運命の転換についての研究。
  • 宇宙空間での植物の成長と環境応答について。
  • 微小重力、過重力における成長、形態形成、光合成の影響分析。
  • 紫外線に対する抵抗性、とくに宇宙線などにも着目した植物応答の分子機構。
  • 乾燥ストレスに強いbrood cellは、どのような細胞か。正常細胞との違いを分子レベルより解明する。
  • 音楽や愛情に植物がどのように応答するのだろうか。

研究内容をより詳しく

5. コケ植物がもつ高機能生理活性物質の探索

コケ植物がもつ高機能生理活性物質の探索
  • 抗菌、抗腫瘍性、香り成分の探索、有効利用への模索

研究内容をより詳しく

6. 細胞極性・体軸形成の分子機構の解明

細胞極性・体軸形成の分子機構の解明
  • シロイヌナズナを用いたオーキシン排出担体PINの局在化機構の解析
  • 光・重力に依存した植物の発生・成長制御機構の解析
  • オーキシン極性輸送システムの進化過程の解析

研究内容をより詳しく

その他その他、植物あるいは植物細胞の能力の謎を解明できるようなチャレンジングなテーマがありましたらお気軽にご相談ください。