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高木先生が著書を出版しました

多様性生物学系の高木昌興教授が編者となり、北海道大学出版会より著書「鳥類の生活史と環境適応 」が出版されました。

表紙:シジュウカラの繁殖期おけるつがい形成から巣立ちまでの各ステージのCG

 

野外鳥類の生活史研究の教科書

生活史とは、生物が生まれ、繁殖し、死ぬまでの、生活の諸様相のすべてを指す。中でも、繁殖に関する形質が特に注目され、どのような卵を、どれだけ産み、どれだけの死亡が生涯のどの時期に起き、生存した子は何歳で繁殖を開始し、生涯にどれだけ繁殖を繰り返すのかということに関心が向けられる。寿命の長短、生まれる子の性比、繁殖時期なども重要な生活史形質である。これらの生活史諸形質をどのようなセットで持つか、言い換えれば、どのような生活史戦略を採るかにより、生涯繁殖成功が高くも低くもなり、これは自然選択の対象になる。

様々な生物的現象の適応的意義を明らかにする生態学や進化生物学においては、生活史進化の研究は重要な研究テーマになっている。鳥類は生活史進化研究の中心的な研究対象として多くの研究がなされてきた。また、生活史は生物各種の生態を特徴づける形質であり、生活史形質は直接間接に動物の行動、社会形態、環境選択などに関わる諸形質の進化を決定づける。動物の研究はまず対象種の生活史を知ることに始まると言える。

たとえ独学でも基本的な鳥類生態学の知識を身につけて、これを活用しながら、更に高度な研究へと進んでいくための指針としての解説書が必要であると編者らは考える。鳥類研究の基礎となる生活史戦略に関する教科書的な書籍は和書では見られない。鳥類の生活史戦略に関する重要な研究分野については、本書で広くカバーできていると考える。本書は鳥類研究を進めるための重要な情報をもたらし、鳥類研究を目指す若い人々の大きな力となると信ずる。(「はじめに」から)

 

目次

はじめに

第1部 生活史研究の基盤
第1章 鳥類における生活史研究の最新動向 (堀江明香)
第2章 産卵数の進化 (松井晋)
第3章 繁殖開始のタイミングを決める至近および究極的な要因 (乃美大佑)
第4章 内分泌物質と生活史 (富田直樹)

第2部 行動と生活史
第5章 営巣戦略 (中原 亨)
第6章 採餌戦略 (上野裕介)
第7章 給餌をめぐる利益対立と協調 (石井絢子)
第8章 繁殖様式と生活史 (江口和洋)

第3部 鳥類の環境適応における生活史的側面
第9章 渡りの生活史的側面 (山口典之)
第10章 島嶼における鳥類の生活史形質の共通性 (髙木昌興)
第11章 外来種の新天地での適応と生活史戦略 (天野一葉)

引用文献
索 引

 

本書のウェブサイト:http://hup.gr.jp/modules/zox/index.php?main_page=product_book_info&products_id=965

 

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