IL-CREES

International Laboratory for Coral Reef Environmental Earth Sciences 

日本学術振興会 頭脳循環を加速する若手研究者戦略的海外派遣プログラム 採択事業

国際サンゴ礁地球環境学ラボラトリー

 

研究課題

複合的なアプローチによる生物源炭酸塩骨格を用いた

地球環境変動の解明

人類起源の二酸化炭素による地球温暖化とその海洋生態系への影響は現在、急激に移行しており、国際社会はそれらの実態の解明と戦略を迫られています。本事業の国際共同研究では各国の研究機関で独自に開発されてきた最先端分析技術をシームレスに行う統合共同分析システムを構築し、

太平洋、インド洋、大西洋の広範囲の海域から得られた海洋生物の炭酸塩骨格の分析を行うことにより、過去数百年間の

詳細な環境変動・生物応答の一次情報を幅広い時空間レベルで復元することを目指します。また、これまでの各研究機関における生物源炭酸塩骨格を用いた環境変動・生物応答の研究成果に共通の年代軸を与えてデータベース化を行い、全地球規模の環境変動の推移を復元します。

本事業で復元が期待される環境情報は、サンゴや二枚貝などの海洋生物の炭酸塩骨格に記録されている海洋環境変動(水温、塩分、pH)です。生物源炭酸塩にはこれらの物理パラメータが定量的に週から月単位の時間分解能で記録されています。また同時に骨格の成長量や石灰化量からは、海洋生物の応答の履歴である生物パラメータを推測することが可能です。

 本事業で得られる成果は、気候変動と生物応答の将来予測の重要な基礎的知見となると共に、生物学や材料工学、水産学、海洋学、地域経済学、社会学など他分野にも大きく貢献することを期待しています。