研究


<研究の興味> 自然の詳細な観察(火山の地質調査,火山岩の岩石学的・地球化学的記載)を基盤とし,必要に応じて多成分系熱力学や物理保存則の制約を利用しながら,地球内部における物質循環プロセス,カルデラ形成噴火に関わるマグマプロセス,活火山における中~長期的噴火活動予測,マグマ溜まりの熱的進化などについての研究を行っています.また,これらの研究を遂行するために必要な化学分析法の立ち上げや開発も行っています.


<研究テーマ> 1.地球内部における水の循環プロセス
水の惑星である地球では,水は大気や海洋などの表層域だけでなく,マントルの流動に付随して内部を大規模に循環しています.地球内部の水は,地表への効率的な熱・物質輸送の媒体であるマグマの生成を促進し,またマントル物質の粘性を低下させる働きをすることから,地球の熱・物質的進化の解明には,地球内部の水の循環過程の定量的な理解が不可欠です.そこで,地球表層域から「地球内部の貯水槽」であるマントル遷移層への水輸送,およびそれに付随する物質循環プロセスを理解するため,主に国内や中国の火山岩を対象に,岩石学的・地球化学的研究を行っています.

2.カルデラ形成噴火のマグマシステム
巨大なカルデラを形成する大規模噴火は,地球上で最も破局的な自然現象の一つです.そこで,その破局性を特徴づける膨大な量の珪長質マグマの準備には,どのくらいの時間スケールを要するのかを明らかにすることを目的とし,国内外のカルデラ火山の噴出物を対象に,U-Th 放射非平衡を軸とした物質科学的解析を進めています.

3.活火山の中~長期的噴火活動予測
火山噴火活動の予測は,岩石学を含めた物質科学が社会に貢献できる研究対象の一つです.そこで,特に中~長期的噴火活動予測を行う上での基礎データを提供する目的で,国内の数多くの活火山を対象に物質科学的解析を行い,マグマ供給系の解明および上部マントルにおけるマグマ生成深度の推定を進めています.

4.マグマの分化プロセス
マグマ溜まりの冷却メカニズムの理解は,マグマが多様化するプロセス(=地殻の分化プロセス)や素過程の多くが共通する形成初期の溶融状態の固体惑星が辿る分化プロセスを解明する上で,重要な手掛かりを与えます.そこで,天然の観察に基づいて抽出された情報と理論的手法とを密接に融合させるという新たなアプローチをとることによって,マグマ溜まりの熱・物質的進化プロセスの定量的な解明を目指しています。

5.その他
 ・プレート内火成活動
 ・珪長質マグマの生成プロセス
 ・地球の熱進化
 ・マグマオーシャンの分化プロセス

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