Hokkaidoサマー・インスティテュートで海外の研究者へ、薄片技術室が貢献できることは一つ。

優れた教育研究業績や活動歴を有し、世界の第一線で活躍する研究者を招聘し本学教員と協働で教育活動を実施するプログラム。
Hokkaidoサマー・インスティテュート
で訪れたネパール人研究者に、期せずして日本の薄片技術を提供することになりました。

ネパール人研究者が勤務する研究所には薄片を作製する設備が整っておりません。
「研究をしたいけれど、ネパールでは薄片を作れない。日本に滞在する期間になんとか自分で作りたいので試料を持参した。」

そう話すネパール人研究者が手にしている試料は、粘土を含有した脆弱なものであり、私が話しに聞く現地の設備では作製不可能だと思えるものでした。

しかし、滞在日数は1週間ほど。

試料数も二十数個と、他にも仕事を抱えているため割りと多めです。

試料を目前にして思うことは薄片技術者として何ができるか…。
考えるまでもなく、できることはただ一つです。

国を問わず、設備の整わない環境下にある地質の研究者には、薄片の観察や分析方法を学ぶより前に、できる限り情報量を多く有する薄片の提供と、技術を維持する最低限の設備が必要です。
薄片技術者が作ったものが粗悪であっても上質であっても、それはそのまま研究成果に直接結びつくことになります。
その事実を知ってもらえるキッカケになれば、それは最高のものを作ろうと日々、研鑽する薄片技術者にとって最大の喜びです。

期間内になんとか完成させた薄片試料をご本人へ手渡した時、こちらが恥ずかしくなるほど喜んでくれました。

ネパールの新聞紙に包まれた試料を、研磨薄片に仕上げました。

Hokkaidoサマー・インスティテュートで来日したネパールの研究者へ…
日本の技術をスライドガラスに…。