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地震に関すること 火山に関すること 津波に関すること その他
質問と回答

Q13. 日本には温泉がたくさんあります。それは火山の力を利用しているものが多いと思います。ではなぜ、日本には火山が多いのですか?

A. 日本に火山が多い理由をひとことで言えば、日本列島の地下ではたくさんのマグマが生まれているから、ということになります。マグマが生産される量は、世界中どこでも同じというわけではありません。例えば、南北アメリカの西海岸や、アラスカ、千島列島、フィリピン、インドネシアなど太平洋の周縁部にある地域では、マグマの生産率が高く多くの火山が分布しています。以下では、どうしてこのような地域でマグマの生産率が高いのか、ということについてもう少し詳しく説明します。

私たちが生活している地球の表面は、数10kmほどの厚さのプレートと呼ばれる岩盤でできています。地球の半径はおよそ6400kmありますので、それから考えると、プレートは表面のわずかな薄皮にすぎません。このプレートは、10数枚に分かれて地球をおおっていて、それぞれのブロックは、より深い領域(マントル)の対流運動に引きずられて浮遊しています。例えていえば、牛乳を温めたときにできる脂肪の膜のようなものです。日本列島は、プレートとプレートがぶつかり合う地域に存在しており、その境界では、東側にある海側のプレートが、西側の大陸プレートの下に沈み込んでいると考えられています。

さて、このように海底のプレートが潜り込んで地中深くまで運ばれると、ある深さ(百数十kmといわれています)に達したときに、プレートの岩石が含んでいた海水が絞り出されて、上にある岩盤に放出されます。上側の岩盤を構成する岩石は、かんらん岩と呼ばれるものですが、通常の状態では固体です。ここに、絞り出された水分が付け加わると、融点が下がるため、その場で一部が融けると考えられています(雪道に融雪剤をまくとシャーベットのようになって融けるのに似ています)。これがマグマの誕生です。プレートの運動は長年にわたって続いていますので、日本列島の地下では、次々とマグマが生産され続けています。そのため、日本では火山が多いわけです。(火山活動研究分野・橋本武志)