A. 詳しい状況がわからないので推測に近いお答えしかできませんが、展望台にいた人全員の髪の毛がまっすぐ上に立っていたというのは、ちょっとびっくりする光景ですね。
一番ありそうなのは、火口から吹き上げてきた強風で髪が逆立ったということです。阿蘇山の火口の周りでは強い風が吹くことが多いのですが、こまちさんが阿蘇にいらした今年の7月29日はどうだったのでしょうか。阿蘇の火口の近くには気象庁の阿蘇山測候所があり、気象庁のホームページで過去の気象データを調べることができます(http://www.data.jma.go.jp/obd/stats/etrn)。この日は、概ね晴れで、南から西寄りの風が吹いていました。お昼頃から徐々に風が強まり、午後2時~3時がもっとも風が強かったようです。
風以外に考えられる原因としては静電気があげられます。雷雲が近づいてくると、強い静電気のために髪の毛が逆立つことがあります。ただ、髪の毛がまっすぐ上向きに立つためには、相当強い静電気が必要でしょう。火山が噴火したときに噴煙の中で雷が発生することがありますので、もし噴火中の火口の近くにいたら、髪が逆立つほどの静電気を経験するかもしれません。しかし、こまちさんが阿蘇にいらした今年の7月29日にこのような噴煙を上げる噴火はありませんでしたので、これはあり得ないと思います。上に書いた阿蘇山測候所の気象データを見ると、この日は午後4時前後に夕立ちが降っていたことがわかりますので、近くで雷雲が発生していた可能性は高いと思います。
火口展望台にいらしたのが、夕立ちが来る少し前の午後2時~3時頃だとすれば、風が強く、雷雲が近づいていた時間帯にあたりますので、上で考えた髪の毛が逆立つ要因がそろっていたことになりますね。当時の状況をよく思い出しながら、他の原因の可能性についても考えてみてください。
(火山活動研究分野・橋本武志)