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質問と回答

Q35. 最近新しくできた小笠原の島はこのまま島になりますか?

A. 新しく島ができる瞬間を見ることができたなんて、とても幸運なことですね。私たちも、この新しくできた島に非常に興味があります。

新しくできた島のすぐ近くには、西之島と呼ばれる島が以前からありました。西之島は伊豆諸島から硫黄島を結ぶ火山列に属しており、小笠原諸島の西方約130キロに位置している無人島です。西之島のすぐ近くでは、1973年にも海底噴火によって新しい島ができ、「西之島新島」と呼ばれていました。この新島がたどった経過を見れば、2013年に新しく誕生した島の今後も予想できそうです。

1973年5月30日に西之島の東方600mで始まった海底火山の噴火活動によって、1973年9月11日には新たな島(西之島新島)が海面上に出現しました。その後も継続した噴火活動により、海面上にはいくつかの新島が形成された後に、それらが合体して1つの島になりました。噴火活動が収まったときには、新島は西之島とつながっていませんでしたが、間もなくして海流や波浪の影響で新島と西之島の間に砂が堆積し、2つの島が合体しました。

その後は、海の波による新島の浸食と、削られた土砂の再堆積によって島の形が変わっていきました。新島ができた当時に見られた火口は浸食によってなくなってしまいましたが、現在も1973年の噴火前に比べて西之島は大きくなった状態で残っています。1973年の新島では、標高約52mの丘も形成されたようですが、現在残っている部分の最高標高は15.2mとされています。波や降雨が大きく島の形を変えたことが分かります。

昨年新しくできた島も、12月26日には溶岩流によって西之島と合体しました。調査時に撮影された写真を見ると、元々あった西之島と同じくらいの大きさまで成長しているように見えます。今後どのくらいの期間で噴火が続くのか予想はできませんが、1973年の新島が現在でも一部が残っていることを見ると、昨年できた新島も40年くらいは浸食されずに残ると考えられます。

なお、1973年の新島形成時は、噴火活動継続中の1974年3月に東京水産大学、東京大学、東京工業大学の合同調査隊が上陸して溶岩や噴石の採取といった調査を行いました。噴火活動収束後の1974年7月には、地震計などの計測器を持ち込んでの観測も実施されています。

(火山活動研究分野・青山 裕)