A. 火山噴火予知連絡会は全国の110の活火山を指定していますが、そのうち31火山が北方領土を含めた北海道に分布しており、阿寒湖周辺の雌阿寒岳と雄阿寒岳も含まれています。中でも雌阿寒岳は、約1万年前から現在に至るまで、活発に噴火を繰り返していて、ごく最近の、ポンマチネシリ火口周辺で2006年と2008年に小規模な水蒸気噴火をしました。20世紀以降の噴火は、いずれもマグマや溶岩の噴出を伴わない小規模なものでしたが、約2000年前には溶岩を出して阿寒富士を形成しました。もっと以前には、活動場所を変えながら、溶岩や火砕流を発生させる、さらに規模の大きい噴火も起こしています。現在も噴煙・噴気活動が活発で、ポンマチネシリ火口の地下の浅い場所の温度上昇を示す観測結果も得られており、北海道でも有数の活発な活動を続けています。残念ながら現在の技術では、時期や規模を絞った噴火予知は、極めて困難ですが、雌阿寒岳が将来噴火するであろうことは、ほぼ、確実であると考えられています.噴火が周辺地域に及ぼす影響について、規模や種類ごとに判り易く説明したハザードマップが行政(釧路市)によって,公開されています(http://www.city.kushiro.lg.jp/bousaikyu/bousai/map/0100)ので、一度ご覧になっておくと参考になると思います。雄阿寒岳も、活火山に分類されていますが、現在の活動は静かで、噴火の可能性は雌阿寒岳に比べて遥かに小さいと考えられています。
(火山活動研究分野・村上 亮・2014年7月11日)