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安全情報・・・B服装について

なぜ実験を行うときに服装を整えなければならないか
化学実験では、さまざまな種類の薬品や器具を使用します。これらは危険性・有害性の低いものから高いものまでさまざまです。これらから自分の身を守るため、周りで実験している人に被害を及ぼさないために最も簡単に出来ることが、実験を行う際の服装を整えることです。
ここでは、実験にふさわしい服装の紹介と保護具を身につけていたために大事に至らなかった事例の紹介を行います。

服装について
化学実験を行う際には、以下のことに気をつけた服装であることが好ましいです。

1 動きやすい
2 ナイロンなどの化学繊維はなるべく避ける
3 静電気を発生しやすい素材は避ける
4 装飾品はなるべく着用しない
5 あまりに長い髪は一纏めにする

上に挙げた4つのうち、2の化学繊維はなるべく避けるということの理由に引火した場合に肌に融着することがあげられます(実験を安全に行うために)。また、5のあまりに髪が長い場合には、気をつけていても髪が薬品に入ってしまう場合があります。

本項の最後に、私の実験中の服装を一例として紹介します(季節を問わず、実験中は以下の服装です)。

Tシャツ(綿100%)
作業用ズボン(綿100%もしくは混紡)
腕時計(ただし、白衣のポケットに入れてあります)
デッキシューズ
白衣(綿100%)
保護めがね(ゴーグルタイプ)


保護具について
化学実験(学生実験)を行う際に、学生個人で用意しなければならない保護具は、以下のものが考えられます。

@ 白衣
A 保護めがね
B 靴
C 軍手

@〜Bは、実験を行う際に常に着用する習慣をつけることが大切です。また、Cは、加熱されたガラス器具などを触る際に必要になります。
これら以外の保護具に関しては、実験前に説明があるはずです。指導教官の注意を良く聞き、安全に実験を行いましょう。

@ 白衣について
白衣にも正しい着用の仕方があります。これは簡単なことですが、白衣の前のボタンを全て閉めることです。白衣の前のボタンを閉める大きな理由は2つ有ります。一つは自分自身の保護のため、もう一つは周りへの影響です。

自分自身の保護とは、薬品や炎を直接自分にふれさせないことです。たとえば、薬品の入った試験管や試薬瓶を自分の方へ倒した場合を想像してください。このときに白衣の前が閉まっていれば汚染された白衣を処理すれば済みますが、白衣の前を開けていた場合は直接衣類に薬品がかかることになります。特に夏季の場合だと薄着になっているため、薬品を直接肌に浴びるのとほとんど変わりません。
炎を使用した場合、気づかずに炎に白衣がふれていた場合、純綿の白衣と混紡の白衣では燃え方が違います(事例_服装1)。また、一般的に綿よりも合成繊維の方が腐食には強いことが知られています。自分の行う実験を考えた上で、混紡白衣にするか純綿白衣にするかを選べばよいでしょう。


事例_白衣1 素材による白衣の燃え方の差(画像をクリックすると、大きい画像が表示されます)
左端:純綿白衣 中央:混紡白衣(ポリエステル35%) 右端:混紡白衣の拡大図
15cm×15cmに切り取った白衣を使用。三脚にクリップで固定し、チャッカマンで10秒間火を着けた。純綿白衣は、焦げるだけでほとんど替わらなかった。ただし、裸火が当たっていた部分はほかと比べて薄くなっていた。混紡白衣は4秒程で表面が沸騰し、6秒後には引火した。なお、写真の白衣が濡れているのは、安全面を考え水に漬けて完全に消火した後撮影しているためである。

周りへの影響とは、白衣の前のボタンを全て開けた状態で歩いた場合を想像してください。このときには、白衣が横に広がり、実験室内の何かを引っ掛ける可能性があります(化学実験の安全指針)。

本項の最後になりますが、白衣の袖口についてです。私個人の意見としては、手首の大きさに絞ることをお勧めします。これは、紐で絞るタイプでもゴムで絞るタイプでもかまいません。スーツの袖口のように広がっていると、実験台の上にある器具を白衣の袖口で引っ掛けることがあります。

A 保護めがねについて
保護メガネは自身の目を保護するための大切な道具です。実験室では酸やアルカリの他にもさまざまな薬品を使用します。眼に薬品が入った場合には、適切と考えられる応急処置が行われ眼科医の治療も受けたにもかかわらず、大幅に視力が低下した事例も報告されています(眼腐食)。
大切なことは、薬品の適切な取り扱いをすることはもちろんですが、実験室に居る間は常に眼を保護している状態を保つことです。
また、保護メガネには幾つか仕様があります。たとえば、紫外線用の保護めがねや特定波長の光からの保護に特化した保護めがねなどです。

学生実験中に学生から質問を受けたことがあります。内容は次のようなものです。
「普通のめがね(視力矯正のめがね)をしていても保護めがねをかけないと駄目ですか?」
視力矯正用のめがねをかけている人でも保護めがねをしなくてはなりません。これは、保護めがねには前面だけでなく、上下左右からも薬品が入らないように保護板があります(上下の保護板が無いタイプもあります)。
これは、自分自身の過失により薬品が飛散し眼に入ることを防ぐだけでなく、周りから飛散した薬品が眼に入ることを防ぐ目的もあるからです。

B 靴について
実験中はヒールの高い靴やサンダル・スリッパを履いてはいけません。これは、薬品をこぼした場合に足を保護する目的もありますが、歩いているときの安定性も問題になります。化学実験を行っていると、どうしても薬品を持ち歩かなければならない場合があります。このときに安定感の無い靴を履いていると、薬品を持ったまま転ぶ危険性があります。
では、どのような靴が適切かですが、また、普通の靴を履いている場合でも、靴のかかと部分を踏んで履いてはいけません。