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安全情報・・・A薬品について

化学物質と危険性・有害性について
化学実験では、様々な化学物質を扱います。この化学物質は、すべて何らかの危険性・有害性を持っています。しかし、化学実験でも学生実験に限定して言えば、危ない事にあったことのある人はごく少数でしょう。これは、化学物質のもつ危険性や有害性をなるべく少なくするような扱い方をしているにすぎません。実験中は、常に自分は危険なものを扱っているという意識を持ち、指導者の注意に従うようにしましょう。

薬品と事故
化学実験では、大きな事故から小さな事故まで様々なものが起こる可能性があります。薬品を原因とした事故には小さな事故ではすまずに、大きな事故になることが多々あります。

事故例1(化学安全ノート より)
アジ化酢酸を湯浴で真空ポンプにより加熱減圧乾燥中に突然フラスコが爆発し、実験者が切り傷を負った事故が報告されています。実験者が額に切り傷を負い、近くにいた者が腕とアゴに深い切り傷を負いました。幸い、保護めがねを着用していたため、眼にガラスの破片が入ることはさけられたようです。アジ化酢酸は熱に比較的安定であり、250度でも爆発しません。しかし、これに微量の不純物が混ざっていると不安定になります。たとえば、鉄や鉄の塩が入っている場合には、90度で爆発することが知られています。

このような事を少しでも減らすために、薬品の危険性・有害性を調べることは大切です。また、薬品が体内に入る経路としては、以下のものがあります。

T 口に入る
U 皮膚から吸収される
V 目に入る
W (気体として)吸い込む

化学の実験室では常に保護めがねを着用するように指導を受けていると思います。
個別の薬品が体内に入った場合の応急処置はMSDSにかかれているので、それにしたがうのが好ましいのです。また、薬品がついた場合は最低でも15分間流水で洗い流すのが基本です。薬品により傷を負った場合には、一刻も早く応急処置をすることが大切です。万が一、強酸や強アルカリを飲み込んでしまった場合には、大量の水を飲ませて希釈するのが一般的です。
薬品(特にアルカリや酸)が眼に入った場合には、応急処置がうまくいっても後遺症が残る場合があります。実験室にいる間は保護めがねを着用しましょう。化学実験中の事故ではありませんが、アルカリが目に入った事故では、以下のことが報告されています。

事故例2(眼科Mook No.5 眼腐食 より)
非常用バッテリーに0.1N苛性ソーダ溶液を入れ替え作業中に右目に苛性ソーダ溶液が飛入した。応急処置用として用意してあった硼酸水と水道水で20分間洗眼を繰り返した後、眼科医にて処置を受けた。初診のときの視力は0.06であり、その後2年間治療し、0.1まで視力が回復した(ちなみに、左目の視力は1.0であったと報告されています)。
この例は、応急処置・眼科処置が比較的うまくいった例として報告されています。応急処置がうまくいっても視力の低下は免れませんし、化学実験室ではもっと濃いアルカリ性の溶液を使用しています。目に入らないように十分に注意して実験を行う必要があります。また、化学の実験室では化学の実験室では常に保護めがねを着用するように指導を受けていると思います。ですが、自分の眼よりも高い位置で薬品を扱うことは好ましくありません。保護めがねをしていても、万が一薬品をこぼしてしまった場合には、薬品が眼に入る確率が高くなります。

事故例3(化学系実験中の事故事例集と安全指針の作成 鳥取大学工学部技術部HP より)
防護眼鏡を着用し、ドラフト入り口で濃アンモニア水をメスシリンダーで移そうとした時、アンモニアの蒸気が眼に触れ両眼に刺激を感じた。水洗し眼科で診察を受けた。若干の充血が見られたが、異常はなかった。
この例は、保護めがねもしていてしかもドラフトで扱っているため安全に対する配慮は十分になされていた例と考えられると思います。北大化学準備室では、ドラフトで薬品を扱う際には、ドラフトのガラス戸は作業の邪魔にならない程度に閉め、ドラフト内の薬品と顔の間にガラス戸がある状態で作業を行うことを推奨しています。また、この事故例3は鳥取大学工学部技術部HPから引用しています。そこでは学生実験に限らず、多数の事故例が紹介されています。

事故例4(実験室の笑える?笑えない!事故実例集 より)
硫酸を希釈する際に、硫酸に水を滴下していった。しばらく滴下した後、硫酸が異常発熱し共栓瓶の底にヒビが入った。
酸類を希釈する場合には、水に硫酸を攪拌しながらゆっくりと入れなければなりません。逆に混ぜると、希釈熱で硫酸が飛び散ることもあります。お決まりの失敗談ですが、意外と経験者は多いそうです。

事故例5
学生実験中、試験管に入れた試料を加熱しているとき、突沸し中の溶液が試験管から飛び出していきました。このとき、試験管の口を実験台の方へ向けていましたが、幸い誰にもかからず怪我人はいませんでした。
これは私が学生の時に実際にやった失敗談です。突沸することがあるから人のいる方に向けて加熱しないようにと注意されていたにもかかわらず、それを守っていませんでした。怪我人が出なかったことが幸いといえます。学生実験では、必ず指導者の注意をよく聞き、それを守って実験を行いましょう。