研究集会 「数学の創成:生命と社会の理(ことわり)のために」 ご案内

 

世話人:久保英夫(北大理)・*松島俊也(北大理)・

高橋泰城(北大文)・木村幸太郎(名古屋市立大)

*:連絡取りまとめ(matusima@sci.hokudai.ac.jp、電話:011-706-3523

 

 

日程:2019215日(金)13時〜16日(土)12

場所:北海道大学理学部3号館(5階)4-501号室

 

この研究会では多様な分野の研究者の相互交流を目指します。下記の4課題を想定し、積極的な話題提供と意見交換を求めます。北海道大学より「科研費・研究構想資金支援事業(領域型研究支援)」の支援(「申請の背景」を参照)を頂きましたので、北大以外の参加者には旅費を支援します。将来の新学術領域研究の申請が期待されますが、まずは分野間交流のために自由闊達な議論を目指したいと考えています。この企画にあたって研究会の意図をまとめました。ご一読ください。

 

1.数学の基礎(数学の正しさを成り立たせ、現実との対応を保証するものはなにか)

2.数認知の発達と起源(ヒトや動物は数の認知とその演算をどのように発達させるのか)

3.経済と社会の数学(ヘテロな要素からなるマクロ系の動的な挙動をどう捉えるか)

4.表象なき理性の数学(動物や機械はどのように知的で合理的な行動を作り出すのか)

 

 

研究会の意図

諸科学の細分化が語られて久しい。これは文理のほとんどの分野にあって程度の違いこそあれ、学問の進展に伴い不可避に現れた。数学、生物学、心理学、社会学どの分野でも、ひとりの研究者がそなえる知識、また日々の研究と教育の枠においてカバーできる範囲、これらは学問が深みと量を増すごとに急速に狭くなった。その結果、個々の諸学は自己をより狭く規定するようになり、近隣領域との活き活きした交流はますます困難になったように思われる。

この研究会では、失われた諸学のつながりを回復させるカギを数学に求める。数学は抽象度高く、正しく、それゆえに分野の垣根を越えて有効である。しかし抽象度の高さゆえに、生命や社会など複雑な挙動を対象とする研究分野には限定的にしか取り入れられてこなかった。この研究会では、数学に生命と人間の現実に寄り添うことを求め、諸科学の課題に適切な理論体系は何であるかを提案して頂きたい。新しい共有財産としての数学の創成を願う。

もう一つ、素朴だが明快な問いがある。エイリアン(地球外の知性)はヒト(地球人)と同じ数学を持つだろうか。生意気な中学生が躍起になって語りだしそうな問いだ。これを、「数学の概念や論理に正当性を与えるものは何か」と問い直すこともできる。古代ギリシャのピタゴラス教団のように、「数学は超越的な実在である」と神話的に理解することもできよう。他方、ゲーデルの不完全性定理を生き延び、ローレンツのカオス現象を潜り抜けた今の我々は、証明と予測に属する限界が本質的なものであることを理解している。脳科学の急速な展開はさらに、数学の思考を神の領域から引き下ろし、生物学的記載の水準まで堕落させようとする。諸科学との格闘を通して、数学そのものの創成を願う。

限られた時間であるが、関連する諸領域の碩学にご参集いただき、今後の活発な議論と交流の端緒としたい。

プログラム

 

持ち時間は一人当たりの40分とします。講演そのものは明確な一つのトピックについて、30分を目途にお願いします。異分野交流である点に十分にご配慮ください。講演者は(1)焦点を絞り込み、(2)説明用語について専門的にならぬよう配慮ください。ご講演の後10分の時間を議論にあてたいと存じます。二つのご講演の後には30分のLong Coffee Breakを設けます。また、15日の夜には近くのレストランなどで交流会を持ちます。これらの議論が、本研究会の一番の仕事だと考えています。

 

15日(金)

 

13:00~13:10  オープニング・リマーク

13:10~13:50  Brains, the Universe and everything else. Bruno Mota (Federal University of Rio de Janeiro)

13:50~14:30 科学の人間化と仏教的世界観 佐々木閑(花園大学文学部)

14:30~15:00  Long Coffee Break

 

15:00~15:40 世論形成の数理 全 卓樹(高知工科大学環境数理)

15:40~16:20 経済のヘテロ動力学 板谷淳一(北海道大学経済学研究科)

16:20~16:50  Long Coffee Break

 

16:50~17:30 市場におけるノイズとバイアス −単純なモデルから見える世界− 佐野一雄(福井県立大学経済)

17:30~18:10 非定常環境における社会的学習エージェントの集団挙動の数理 守 真太郎(弘前大学理工)

 

懇親会 北大総合博物館1階「カフェ・ぽらす」(http://polus.tetote.org/

 

16日(土)

 

08:00~08:40  中心極限定理を中心に 正宗 淳(北海道大学理学研究院(数学))

08:40~09:20 自然知能:物理に潜む計算能力の活用 金 成主(慶応大学政策メディア研究科)

09:20~09:50  Long Coffee Break

 

09:50~11:30 (線虫の)脳活動を理解するための微分積分と「因果関係」 木村幸太郎(名古屋市立大学)

11:30~12:10 心はすべて数学である 津田一郎(中部大学創発学術院)

 

Lunch

ディスカッサント(パネリスト)(登録順)

松井 大 (慶応大学文学部(比較認知))

葛西 誠也(北海道大学・量子集積エレクトロニクス研究センター)

竹澤 正哲(北海道大学大学院・文学研究院(社会心理))

佐野 勝彦(北海道大学大学院・文学研究院(論理学))

藤田 一郎(大阪大学大学院・生命機能研究科(脳科学))

中島 直道(北海道大学理学部(数学))

吉田 大河(北海道大学理学部(数学))

藤沢 好 (北海道大学大学院・理学(数学))

黒田 紘敏(北海道大学大学院・理学(数学))

浜向 直 (北海道大学大学院・理学(数学))

吉永 正彦(北海道大学大学院・理学(数学))