研究内容

大陸地殻の変形過程、地形形成論

私の目標は、地震破壊や地殻深部流動を含む大陸地殻の変形メカニズムを理解し、
その理解に基づいて山岳地形の特徴を決定する要因を解明することである。
これまでの研究は以下の通り。

1、連続体の準静的変形の数値シミュレーション

数値シミュレーションは応力場のようにアナログ実験では可視化が困難な量を調べたり、
物理メカニズムを突き詰めることに向いている。私の専門は粘弾性体媒質の断層運動に
伴う変形シミュレーションと有限要素法解析である。前者は内部境界条件の取り扱いに長けている。
一方で、有限要素法を用いてカルデラや地質境界などの不均質媒質が応力蓄積場に及ぼす
影響を調べている。さらに、非線形粘性流体のバックリング不安定性解析を用いて隆起・沈降
と侵食・堆積の相互作用、およびその気候変動との関わりを研究している。

2、合成開口レーダー解析・GNSS観測

合成開口レーダー(SAR)解析により地上観測点無く地表変位場を面的に検知できる。
これまでInSARPixel Offset解析を用いて1996年鬼首群発地震、2008年岩手宮城内陸地震、
2008年四川省地震、2007年中越沖地震、2011年東北地方太平洋沖地震などを研究した。
同時に、主に飛騨山脈の周辺でGNSS観測を行っている。今後のデータの蓄積が楽しみである。
私は解析結果を他の観測量と比較し、統合的な解釈を行っている。
地震・地質・重力異常等は構造を捉える一方で、SARGPSは運動を捉える。
構造と運動の一致は現在の運動を、不一致は構造の時間発展を意味する。

3、大陸衝突帯の変形過程のシナリオ構築

大陸衝突によるプレート変形過程は複雑だが、幾何学的制約や質量保存則から逸脱することは無い。
そこで、台湾について既知のデータを収集・吟味して初期状態を仮定し、その時間発展を幾何学的に演繹する
ことで地質構造発達史に拘束を与えることに成功した。

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