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研究会のアブストラクト集

8/25(火) 18:30-22:00

時間  発表者
(所属)
アブストラクト
18:30
-
18:55
横倉 祐貴
(京大 M1)
現代的くりこみ入門〜弦理論に向かう前に〜
場の量子論を学び始めて、まず最初に戸惑うのがくりこみだと思います。 「くりこみの処方はわかっても、その意味がわからない」、と自分は悩んだ。 おそらく他のM1の人もそう感じているだろうと思い、 「M1がM1のために行うくりこみのレビュー」をしようと思います。 具体的には以下のことについて話します。
・朝永のくりこみとWilsonのくりこみの関係
・臨界現象と連続極限の関係および統計力学と場の量子論の関係
・重力の量子論と弦理論
18:55
-
19:20
小川 軌明
(京大基研 D2)
Kerr/CFT対応とその拡張について
量子重力を研究する上で、ゲージ/重力対応は現在非常に重要な要素となっている。 特に最近、弦理論での解析が困難なKerrブラックホールなどの系における ゲージ/重力対応の手法(Kerr/CFT対応)が考案され、様々な拡張や理解が進められている。 本講演では我々の研究も交え、このKerr/CFT対応の概要を説明したい。
19:20
-
19:45
宝利 剛
(大阪市立大 D3)
Geodesic Integrability, conformal Killing-Yano tensor and Kerr-NUT-AdS black hole
真空のアインシュタイン方程式に対する現在知られている最も一般的なブラックホール解はパラメーターとして 質量、角運動量、NUTそして宇宙定数を持っており、Kerr-NUT-AdS解とよばれています。 本講演では、Kerrクラスのブラックホール計量がどのように構成されてきたのかを概観することによって Kerr-NUT-AdS計量を紹介し、測地線方程式の可積分性とconformal Killing-Yanoテンソル場との密接な関係を 簡単にレビューした後、Kerr-NUT-AdS時空とconformal Killing-Yanoテンソル場との関係をお話したいと思います。
19:55
-
20:20
倉橋 信明
(神戸大 D1)
超対称性と高次元ゲージ対称性の関係
ゲージ・ヒッグス統一理論(GHU)では、高次元ゲージ場の4次元成分をゲージ場、 高次元成分をヒッグス場とみなす。この理論では、ヒッグスの質量補正に寄与する 2つのグラフの間で発散が相殺するという大きな特徴がある。これは超対称性理論 とよく似ている。またGHUにおいて、ゲージ場とヒッグス場の間には量子力学的な 超対称性が存在する。 このような点に着目し、GHUにおける発散の相殺と量子力学的超対称性との関係に ついて議論する。
20:20
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20:45
清水 将英
(北大(名大) D2)
コンパクトなCalabi-Yau多様体に対する開ミラー対称性の最近の発展について
TBA

8/27(木) 18:30-22:00

時間  発表者
(所属)
アブストラクト
18:30
-
18:55
小笠原 敦
(京大 M1)
ブラックホールから求まる強結合の場の量子論の粘性(review)
強結合の場の量子論と弱結合のAnti-de Sitter時空の間に対応があることが知られて いている。 また、ホーキング輻射を考えることで、ブラックホールは熱力学に加え、流体として の性質をもつことが分かっている。 本研究では、AdS/CFT対応により等価な理論であるAnti-de Sitter時空の物理を考え、 それに対応する強結合の場の量子論に現れる流体の粘性を求める。 その結果、多くの場合、強結合の場の量子論に現れる粘性とエントロピー密度の比は、 普遍な値を持つことがわかった。 この講演は、P.K.Kovtun, D.T. Son, and A.O Starinets, arxiv:hep-th/0405231v2( 2005)のレビューを行う。
18:55
-
19:20
田港 朝貴
(九州大 M2)
電場のあるD3/D7ホログラフィックゲージ理論 (review included)
近年、AdS/CFT対応に基づいたゲージ/重力対応のモデルを用いてゲージ理論の非摂動論的側面での振る舞いを 明らかにしようとする研究が盛んに行われている。 特に、温度やバリオン密度を導入したモデルがQCD相図の解明への新たなアプローチ法として盛んに研究されている。 最近このような研究の一環として、U(1)_Bゲージ場に対するバリオン数カレントは バリオン数を持つクォークを荷電粒子とみなすとき、金属中の電流と似た振る舞いをする事が KarchとO'Bannonによって示されている。さらに、バリオン数カレントに対する絶縁体相と伝導体相の2つの相が U(1)_Bのゲージ場に依存して存在する事が示されている。本研究会では以上のことをレビューする。 さらに、我々はクォーク閉じ込めのあるホログラフィックなゲージ理論に上記のアイデアを適当し、 外部電場に対する絶縁体相での解の振る舞いを調べると、そこにこれまでに無い新しい相がある事がわかった。 このことを含めて報告する。
19:20
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19:45
三角 樹弘
(京大基研 D1)
AdS/QCDモデルに基づく有限温度メソンスペクトルの研究
宇宙初期に存在したと考えられているsQGP(強相関クォーク-グルーオン プラズマ)は、 ハドロン物理における最も興味深いトピックであるとともに、非摂動的計算を必要と する解析の困難な系でもある。 一方、超弦理論におけるAdS/CFT対応に基づくAdS/QCD modelsを用いた強結合領域の 解析が著しい発展を見せている。 我々はSoft-Wall modelと呼ばれるモデルを用いて有限温度でのメソンスペクトルを 解析し、格子シミュレーションと一致する性質を導き出した。 さらには格子計算では解析が困難な有限運動量スペクトル関数を導出し、高速プラズ マ中でのメソンの溶解という興味深い結果を得た。 本トークではこれらの結果ともに、その周辺の内容について説明をする。
19:55
-
20:20
本多 正純
(総研大 M2)
数値計算によるAdS/CFT対応の検証
AdS/CFT対応は様々な応用的側面を持っているだけでなく、超弦理論・M理論の定式化を探る上での ヒントとなる重要な概念である。しかしながら、その正当性に関しては数多くの状況証拠はあるものの、 いまだ完全には示されておらず、どこまで成り立っているかどうかも不明である。そこで我々は、 4次元のN=4 Super Yang-Mills理論(SYM)におけるウィルソン・ループと相関関数を、モンテカルロ法を 用いて数値的に計算し、D3ブレーンの場合のAdS/CFT対応を検証した。 本講演では、SYMをどのようにして計算機に乗せるかどうかを説明した後に、得られた結果を示し、 それについての考察を行う。
20:20
-
20:45
太田 昌宏
(総研大 M2)
Holographic superconductorにおけるずり粘性率の解析
ゲージ/重力対応は強結合している場の理論の非摂動論的解析を行う 手段として, ひいては現実の系に超弦理論を応用する試みとして盛んに研究されている. この新たな応用として,昨年,超伝導の場の理論に双対な重力側のモデルが提唱 された. 我々はこのモデルの流体的性質に注目し,ずり粘性率とエントロピー密度の比が 相によらず1/4piになることを示した. また,この結果はAdS/QGPにおいて,ずり粘性率とエントロピーの比がユニバー サルであるという証明を一般化したものになっている. 本講演では,このモデルの超伝導的性質とずり粘性率の解析結果について説明す る.
20:45
-
21:10
藤田 充俊
(京大 D2)
Eschenburg space as gravity dual of flavored N=4 Chern-Simons-matter theory
D=3 N=4 超共形Chern-Simons-matter理論は、ゲージ/重力対応を用いて解析することができます。 本研究では、この3次元の理論にフレーバーを導入する手法を考え、 フレーバーD6ブレーンの双対な重力理論への埋め込み方を調べます。 さらに有限温度で、フレーバーを含む理論の自由エネルギーと閉じ込め/非閉じ込め相転移を ゲージ理論と重力理論の両側で解析し、比較します。

8/28(金) 18:30-22:00

時間  発表者
(所属)
アブストラクト
18:30
-
18:55
川口 維男
(京大 M1)
An Introduction to ABJM theory (review)
昨年、Aharony-Bergman-Jafferis-Maldacenaによってd=3,N=6 superconformal Chern-Simons-matter theoryとAdS4×S7/Zk上のmultiple M2-braneの間のdualityが 予想されました。このdualityはABJM theoryとよばれ、M-theoryの定義の問題を解決する 可能性を持っているほか、物性系で現れるCS-matter theoryを解析する手段としても使われています。 今回はこのABJM theoryについての初歩的なレビューをさせていただきたいと思います。
18:55
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19:20
村田 仁樹
(京大基研 D2)
Comments on modified superstirng field theory
弦の場の理論(string field theory)は弦理論の真空構造を理解するうえで 重要な役割を果たすと考えられる.特に現象論的に興味深いのは超対称性を 持った超弦の場の理論(superstring field theory)である.しかしながら, 現在のところ superstring field theory には構成段階から 様々な問題が内在する.本講演ではそういった諸問題の解決に向けた試み について紹介する.
19:20
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19:45
藤間 崇
(金沢大 D1)
PAMELA anomalyとradiative seesaw model
最近のPAMELAやFERMI衛星の観測により銀河の中心から強いpositoron fluxが検出されている。このpositoronはDark Matterの対消滅からくるものであ ると考えられ、Dark Matterの間接的な証拠となる。しかし、そのように考える とannihilation cross sectionに対して大きなboost factorが必要となってく る。ここでは、このboost factorをBreit-Wigner enhancementで稼ぎ、 radiative seesaw modelの枠組みでPAMELA anomalyを説明することを考える。
19:55
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20:20
小山 陽次
(中央大 M2)
Fine-tuning Problems in Gauge Hierarchy and Inflation
Inflation 理論と統一理論には inflaton と Higgs というスカラー場が必要であるが、 そのいずれにおいても量子補正に関する fine-tuning 問題が生じる。 我々の研究では高次元ゲージ場の余剰次元成分にこれらのスカラー場の起源を求める。 それを Higgs かつ inflaton として同一視し、二つの理論にある parameter を fine-tuning なしに説明する。
20:20
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20:45
西脇 健二
(神戸大 D2)
余剰次元空間の幾何学を起源とする高次元ゲージ理論におけるCPの破れ
高次元ゲージ場の余剰次元成分をヒッグス場と見なすゲージ・ヒッグス統合模型においてCPの破れを導入する事は、 湯川結合は実であるゲージ結合を由来とする為に、その実現は非自明な問題として残されていました。 今回我々は、余剰次元が2つの高次元ゲージ理論において、余剰次元が$T2/Z_4$オービフォールドで ゲージ群がU(1)という、比較的簡単な設定の下でもCPの破れが実現される事を示しました。 余剰次元が2つ(時空が偶数次元)の場合では、CP変換が余剰次元の複素構造と密接に関連する事が興味深い点であります。 本発表は、林青司氏(神戸大)、丸信人氏(中央大)との共同研究に基づくものです。
20:45
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21:10
折笠 雄太
(総研大 D3)
古典的なコンフォーマル対称性を持つ標準模型の拡張
Bardeenは理論に古典的なコンフォーマル対称性があるとき、 階層性問題は生じないのではないかと予想した。 この予想に基づいたモデルとして、古典的なコンフォーマル対称性を持つ B-L対称性をゲージ化したモデルを紹介し、このモデルで対称性の破れが どのように起こるかを説明する。 また、このモデルが理論的、実験的な必要性からパラメータが どう制限されるのかを見る。