当研究室で現在進行中のテーマ、あるいは研究可能なテーマをご紹介します。

このほかにも、植物あるいは植物細胞の能力の謎を解明できるようなチャレンジングなテーマがありましたら当研究室までお気軽にご相談ください。

藤田研究室
藤田知道 Tomomichi Fujita
大学院理学研究院 生物科学部門 教授
  • 植物進化発生学

動物とはどこが違うのか。 植物細胞の増殖と分化の制御そしてその能力について 様々な角度から研究を進めています。

植物はなぜ再生能力や全能性に優れているのでしょうか。また植物細胞はあたかも無限に分裂するにも関わらず、なぜガンにならないのでしょうか。これら植物細胞が秘めるすばらしい能力を、私たち動物細胞に応用することができないものでしょうか。

植物は一次生産者として“宇宙船地球号”を支え、癒しを与え、私たちになくてはならないパートナーです。そんな植物は、まわりの環境変化をどのように感じ、応答し、成長しているのでしょうか。またこのような発生プログラムや環境適応機構は進化の過程でどのように獲得され、今後どのように変化していくのでしょうか。

私たちは、植物に特有の発生や環境適応機構を研究し、植物がもつ優れた能力を多く発見したいと考えています。植物がどのように細胞の増殖と分化を制御しているのかを明らかにし、さらに植物の細胞運命を自在にコントロールできるようになることを目標に、このような問題の解決に挑みます。

さらに植物に特有の環境適応機構を研究し、植物がもつ優れた環境ストレス耐性機構を発見し、環境応答と植物の発生プログラムのクロストークを明らかにしていきます。植物の環境応答と発生のクロストークの研究は、悪環境下でもたくましく成長し続けることができる“スーパー植物”の開発も大切なゴールの1つです。

こうした植物の研究は、現在私たちが直面しているさまざまな社会問題の解決にもきっと役立つはずです。同じ目的を持った仲間とともに楽しく、充実した研究生活を過ごし、あなたの力を科学や社会の発展に役立てるための素地をともに築いていきましょう。
現在進行中のテーマ、あるいは研究可能なテーマなどを例示していますが、相互に深く関わっているものが多いです

楢本研究室
楢本悟史 Satoshi Naramoto
大学院理学研究院 生物科学部門 准教授
  • 植物発生細胞生物学
  • 植物進化発生学

植物の発生・成長の基本原理とは?

地球上の生命の歴史のなかで、植物は常に進化の先端を生きてきました。大気を酸素が豊富な状態につくりかえ、また、陸上進出をリードしたのも植物です。現在の地球上の生物は、植物の存在しない世界に存在したことはありません。地球にある生命現象を理解するうえで、無視できない存在であるにも関わらず、我々人類の植物に対する理解は十分であるとは言えません。

植物の体のかたちは多様性の宝庫で、種ごとの差違に加えて、生育環境ごとに生み出される差違によって無限の可能性を実現しています。

この植物の形態の多様性は、遺伝的プログラムに支配されながらも、環境シグナルに対して常に開かれているという植物独自の発生・成長の原理に起因しています。この原理の土台となっているのは、個体・組織レベルで作られるオーキシンの極性輸送により形成される体軸と、オーキシン排出担体PINの極性局在に露顕される細胞レベルの極性です。この体軸と細胞極性を支える分子基盤は、小胞輸送機構や細胞骨格との関係、生体膜の代謝(生体膜環境の制御)など、細胞内のさまざまな分子の関与が指摘されています。また、これらは遺伝プログラムに加え、光・重力などの外部環境の制御下にもあり、あまりに複雑な現象であるため、その全貌は未だ謎につつまれています。

そこでわたしたちは、様々なイメージング技術を用いた細胞生物学的手法や分子生物学的手法を用いて、植物の体軸・細胞極性の形成にはたらく分子の働きについて解析をしています。また、情報生物学的手法も組み合わせることで、上述の分子基盤の進化と形態の進化のあいだにある関係について明らかにしたいと考えています。

実験では、シロイヌナズナ、ヒメツリガネゴケ、ゼニゴケをはじめとして、さまざまな植物を用いて実験を行っています。

なお、植物は光・重力以外にも、様々な環境ストレスに抗って発生・成長します。これらはどのようなメカニズムで実現するのか、オーキシン極性輸送とどのように連携して機能するのかも合わせて明らかにすることで、植物が多様な形態をなして陸上に繁茂した謎に迫りたいと考えています。

マルセルバイヤー
Marcel Pascal Beier
Institute for the Advancement of Higher Education, Hokkaido University
Affiliated with the Faculty of Science, Hokkaido University
  • plant nutrition
  • plant mechanics

Plants mastered the adaption to different habitats. However, much of the “how” still remains to be elucidated. While my previous research focused on the adaption of Rice (Oryza Sativa) plants to different nitrogen conditions, the recent research aim is to understand the mechanical alterations plants undergo for environmental adaption. For this purpose, the research shifted mainly to the model plants Physcomitrella patens (moss) and Arabidopsis thaliana. The mechanical adaption under various stresses like micro-gravity and hyper-gravity, nutrient limitation and salt stress is analyzed. The final goal is to identify and analyze responsible gene networks.