論文紹介:ネットワークメンバーの発表論文を紹介しています
2016年
No.22
著者 | 山﨑朋人, 大西雅之, Eun-Jeong Kim, Heriberto Cerutti, 大濱武 |
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雑誌名 | Proc Natl Acad Sci USA., 113:10720-10725 (2016) |
要旨 | 遺伝子発現を制御する機能をもつmicroRNA (miRNA)は、ステムループ構造を持った前駆体RNAが、2本鎖RNA特異的切断酵素DICERによって多段的に切断されて出来上がる。その生合成機構においては、DICERの働きを補佐する2本鎖RNA結合タンパク質が必須であるが、クラミドモナスにおいてその遺伝子は同定されていなかった。 この論文で我々は、1本鎖RNA結合ドメインと2本鎖RNA結合ドメインを1つずつ持ったDUS16遺伝子が破壊され、miRNAの生合成ができなくなった変異株を単離した。変異体解析の結果、DUS16は核内に局在し、DLCER-LIKE3タンパクとマイクロプロセッサー複合体を形成してmiRNA前駆体の最初のプロセシングに関与することを突き止め、DUS16タンパク質がほぼすべてのクラミドモナスmiRNAの生合成に必須であることを明らかにした。 |
植物 | クラミドモナス |
リンク | http://www.pnas.org/content/113/38/10720.long |
著者 | 山﨑朋人, Eun-Jeong Kim, Heriberto Cerutti, 大濱武 |
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タイトル |
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雑誌名 | The Plant J., 85, 258-268 (2016) |
要旨 | microRNA (miRNA)は、相同な配列をもつmRNAに作用してその発現を負に制御する内在性の小分子RNAである。このmiRNAが作用するためにはアルゴノート(AGO)タンパク質と複合体を形成する必要があり、単細胞緑藻クラミドモナスには3つのAGO遺伝子(AGO1-3)がコードされている。一般に、それぞれのAGOは異なる役割・機能を持っている。これまでクラミドモナスのAGO1は核内に局在し、トランスポゾンの抑制を行っていることが示唆されていたが、アミノ酸配列の相同性が高いAGO2、AGO3それぞれの役割は不明であった。この論文で、我々はAGO2とAGO3それぞれの欠損変異体を単離し、その解析を行った。その結果、AGO2の発現量はAGO3と比較して非常に低く、miRNAを介した遺伝子発現制御への寄与は限定的である一方、AGO3がmiRNAを介した標的mRNAの切断と翻訳抑制担う主要なAGOタンパク質であることを明らかにした。 |
植物 | クラミドモナス |
リンク | http://onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1111/tpj.13107/epdf |
No.20
著者 | 後藤誠也、川口康弘、杉田千恵子、一瀬瑞穂、杉田 護 |
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タイトル |
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雑誌名 | The Plant J., 86, 493-503 (2016) |
要旨 | Pentatricopeptide repeat (PPR)タンパク質は植物に数100種存在し、その多くはミトコンドリアや葉緑体で転写後制御に働いていると考えられている。しかし、その分子機能が明らかになったのは1割にも満たない。本論文ではヒメツリガネゴケのPクラスPpPPR4の機能解析を行った。PpPPR4遺伝子破壊(KO)株はコケ原糸体の生長が遅く、光合成能が低く、葉緑体タンパク質の蓄積レベルも大きく減少していた。そこで次に、葉緑体遺伝子の発現レベルを調べたところ、葉緑体rRNA遺伝子オペロンから転写されるtRNAIle-GAUの蓄積レベルがKO株では顕著に低下し、逆にイントロンを含むpre-tRNAIleが蓄積していた。これに対して、その他のtRNAとrRNAの蓄積レベルおよびRNAプロセシングパターンに異常は見られなかった。このように、pre-tRNAIleのスプライシング異常が観察されたので、組換えPpPPR4とtRNAIleイントロンとの結合実験を行った。その結果、組換えPpPPR4がイントロンのドメインⅢ領域に結合することが明らかになった。以上の結果から、PpPPR4はtRNAIle-GAUイントロンに特異的なスプライシング因子であると結論し、これをPTSF1 (plastid tRNA splicing factor 1)と命名した。 |
植物 | ヒメツリガネゴケ |
リンク | http://onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1111/tpj.13184/full |
著者 | 山下由衣,尾之内均,内藤 哲 |
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雑誌名 | 化学と生物, 54, 191-197 (2016) |
要旨 | かつてリボソームはmRNAに書き込まれた遺伝情報を忠実にタンパク質に翻訳するための装置であるとイメージされていたがそうではない.リボソームは細胞内の状態に応答して機敏に遺伝子発現を制御する情報処理装置である.近年,翻訳途上の新生ペプチドが作用して遺伝子発現を制御する例が様々な生物で見つかっている.リボソームは,いわば細胞質にどっぷりと浸かって翻訳を行っており,細胞質の状態を検知するのに適した状態にある.新生ペプチドが,そのアミノ酸配列に依存して自身を翻訳中のリボソームを停滞させることが引き金となって,遺伝子発現を制御し,場合によってはmRNA分解などにも関与する遺伝子について植物を中心に概観する. |
植物 | シロイヌナズナ他 |
リンク | https://katosei.jsbba.or.jp/index.php?aid=545 (農芸化学会員以外でお読みになりたい方は内藤までご連絡ください) |
著者 | 吉川 学、井木太一郎、沼 寿隆、宮下京子、飯 哲夫、石川雅之 |
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タイトル |
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雑誌名 | Plant Physiol.,171, 359-368 (2016) |
要旨 | 小分子RNAの一つであるtrans-acting small interfering RNA (tasiRNA)は、植物の形態の制御などに関わっている。モデル植物として広く使われているシロイヌナズナでは、ゲノムのTAS1やTAS2遺伝子から転写されたRNAが、microRNA173 (miR173)を含むRISCと呼ばれる複合体によって、miR173に相補的な配列部分で切断されtasiRNAが生じる。これまでTAS1やTAS2 RNAはリボソームによる翻訳の指標である開始コドンと終始コドンがはっきりしていないため、リボソームに翻訳されないノンコーディングRNAであると考えられてきた。しかし、我々がTAS1やTAS2 RNAについて開始コドンと終始コドンを調べたところ、miR173に相補的な配列を含む開始コドンと終始コドンからなる領域が共通して存在することを見つけた。そこで、tasiRNA生成におけるこの領域の役割を調べるために終始コドンの位置を変えたTAS2 RNA変異体を作製し、ベンサミアナタバコを使ってtasiRNAの蓄積を調べたところ、miR173相補配列の15塩基より5’末端側に終始コドンを導入した変異体で蓄積が低下することがわかった。これら一連の解析から、ノンコーディングRNAと考えられたTAS2 RNAがリボソームより翻訳され、それがtasiRNAの生成に関わることを明らかにした。 |
植物 | シロイヌナズナ、ベンサミアナタバコ |
リンク | http://www.plantphysiol.org/content/171/1/359.abstract |
著者 | 薦田(萩原)優香,佐藤昌直,Sun Hee Choi,厚見 剛,阿部純也,福田隼也,本庄三恵,永野 惇,薦田圭介,中原健二,上田一郎,内藤 哲 |
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雑誌名 | Scientific Reports,6, 21411 (2016) |
要旨 | RNA(リボ核酸)をゲノムに持つウイルスは,その小さなゲノムの中にウイルスの感染・増殖に必要な遺伝子を詰め込む必要があります。そして,それらを発現させるために様々な戦略がとられています。今回,クローバ葉脈黄化ウイルスが自身のコピーを複製する時に,P3と呼ばれる遺伝子内のグアニン2個とアデニンが6個並んだ(G2A6)配列で一塩基の欠損を生じることで,P3のG2A6より下流部分が欠落した尻切れのP3遺伝子(P3N-ALTと名付けた)を発現すること,及びP3N-ALTがウイルスの感染・増殖に必要なことを解明しました。一塩基の挿入・欠損を起こす可能性のある同様の配列は,他の多くの動植物RNAウイルスのゲノム上にも多数見つかったことから,他のウイルスにおいても感染・増殖に必要な尻切れ遺伝子を発現している可能性が考えられます。 |
植物 | エンドウ、ソラマメ |
リンク | http://www.nature.com/articles/srep21411 |
著者 | 伊藤 秀臣, 金 鍾明, 松永 航, 佐瀬 英俊, 松井 章浩, 遠藤 高帆, 春川 佳子, 高木 宏樹, 八重樫 弘樹, 増田 ゆかり, 升田 誠二, 石田 順子, 田中 真帆, 高橋 聡史, 諸澤 妙子, 豊田 哲郎, 角谷 徹仁, 加藤 敦之, 関 原明 |
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雑誌名 | Scientific Reports,6, 23181(2016) |
要旨 | シロイヌナズナを37℃で24時間,高温にさらすことでトランスポゾン「ONSEN」が活性化し,ゲノム内にコピー数が増加した集団が作られた。この転移集団を用いて,ストレス耐性試験を行った。その結果,休眠や成長抑制,乾燥ストレスにより誘導される植物ホルモンのアブシシン酸ストレスに耐性を示す個体を見つけた。この個体のゲノム構造を調べた結果,アブシジン酸応答性の遺伝子にONSENの挿入が見られ,遺伝子の機能破壊によりストレスに対して非感受性になったことが明らかになった。本研究から,環境ストレスで活性化するトランスポゾンがストレス耐性個体を誕生させることを直接実証することができた。 |
植物 | シロイヌナズナ |
リンク | http://www.nature.com/articles/srep23181 |
No.15
著者 | 宮崎さおり(遺伝研(現静岡大))、佐藤 豊(生物研)、浅野智哉(金沢大)、長村吉晃(生物研)、野々村賢一(遺伝研) |
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雑誌名 | Plant Mol. Biol.,89, 293-307 (2015) |
要旨 | 被子植物では、特定の季節に受粉・受精を行い、種子生産を完了させる必要があるため、生殖細胞の分化・発生のタイミングは厳密に制御されています。同一の葯内で、複数の花粉母細胞が同調的に減数分裂へと移行し、大量の花粉が同時に生産されるのもその一例です。私たちのグループは2011年に、イネの生殖細胞が減数分裂に移行するタイミング制御に関わるMEL2遺伝子の同定に世界に先駆けて成功しました。しかし、植物の減数分裂への移行タイミングを制御する機構はほとんどが不明のままです。今回は、MEL2 蛋白質がもつRNA認識モチーフ(RRM)と優先的に結合する特徴的なRNAコンセンサス配列を試験管内で同定しました。同配列をイネゲノム配列と照合したところ、249個のイネ遺伝子が、3′-非翻訳領域(3′-UTR)内にコンセンサス配列と類似の配列を保存していました。また、葯での蓄積量がmel2突然変異体で変動するイネ蛋白質には、減数分裂での機能が示唆されるいくつかの蛋白質が含まれており、それらに対応するmRNA 3′-UTRの中に、MEL2結合コンセンサスと類似の配列を見出しました。これらの結果は、MEL2がmRNAの3′-非翻訳末端に結合し、減数分裂で重要な働きをする蛋白質の翻訳制御を介して減数分裂移行のタイミングを制御している可能性を示唆しています。 |
植物 | イネ |
リンク | https://www.nig.ac.jp/nig/ja/2015/09/research-highlights_ja/20150904.html |
著者 | 松永 航、大濱 直彦、田部 記章、増田 ゆかり、升田 誠二、三谷 奈見季、篠崎和子、馬 建鋒、加藤 敦之、伊藤 秀臣 |
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タイトル |
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雑誌名 | Front. Plant Sci.,09, http://dx.doi.org/10.3389/fpls.2015.00048 (2015) |
要旨 | トランスポゾンは宿主生物のゲノム進化のキー要素であり、トランスポゾンが宿主ゲノムの遺伝子発現を変化させる例がいくつか報告されている。近年、いくつかの植物で生物学的、非生物学的ストレスで活性化するトランスポゾンの報告がなされてきた。我々は高温ストレスで活性化するシロイヌナズナのTy1/copa型レトロトランスポゾンONSENに注目し、その活性が小分子RNAにより制御されていることを明らかにした。我々はまた、ONSENは酸化ストレスによっても活性化することを明らかにした。小分子RNAの生合成経路の変異体では発生の初期段階で高温ストレスを与えた植物の次世代で転移が観察されたことから,未分化細胞では転移活性が比較的長期間維持されていることを示唆している。 |
植物 | シロイヌナズナ |
リンク | http://journal.frontiersin.org/article/10.3389/fpls.2015.00048/full |
著者 | 鈴木悠也,荒江星拓,Pamela J. Green,山口淳二,千葉由佳子 |
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タイトル |
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雑誌名 | Plant Cell Physiol.,56, 863-874 (2015) |
要旨 | mRNAのポリA鎖の長さは,mRNAの安定性や翻訳効率に影響を与え得る重要な要因の1つである。配列情報を用いた解析から,AtCCR4aおよびAtCCR4bは脱アデニル化酵素として同定されていたが,植物におけるAtCCR4の生理学的な重要性は明らかになっていなかった。本論分ではatccr4a/4b二重変異株を用いた逆遺伝学的解析によって,AtCCR4aおよびAtCCR4bがショ糖やデンプン生合成に関与することを明らかにした。さらに遺伝子のポリA鎖長を測定することで,AtCCR4の標的遺伝子のひとつとしてアミロース合成酵素であるGranule-bound starch synthase 1(GBSS1)を同定した。 |
植物 | シロイヌナズナ |
リンク | http://pcp.oxfordjournals.org/content/56/5/863.full.pdf+html |
No.12
著者 | 薦田(萩原)優香,杉山朋也,山下由衣,尾之内均,内藤 哲 |
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タイトル | The N-terminal cleavable pre-sequence encoded in the first exon of cystathionine γ-synthase contains two different functional domains for chloroplast targeting and regulation of gene expression. |
雑誌名 | Plant Cell Physiol.,,55, 1779-1792 (2014) |
要旨 | シロイヌナズナのCGS1遺伝子にコードされるシスタチオニンγ-シンターゼ(CGS)は,高等植物においてメチオニン生合成の鍵段階を触媒する。CGS1遺伝子の発現は,S-アデノシルメチオニン(AdoMet)に応答したCGS1 mRNAの特異的な翻訳停止と,これと共役したmRNA分解によってフィードバック制御される。翻訳停止にはN-末端領域にあるMTO1領域と名付けた十数アミノ酸残基の配列がシス配列として必要である。CGS1遺伝子は核コードされ,葉緑体に移行して機能する。CGSのN-末端領域の百数十アミノ酸はCGSの酵素活性には必要とされない。この領域の中の約40アミノ酸の領域は植物間で高度に保存されており(保存領域),MTO1領域は保存領域のC-末端側の半分を占める。 CGSの葉緑体移行シグナルとCGS1遺伝子発現制御の関係を,GFPとの融合遺伝子を用いて解析した。その結果,保存領域のN-末端側半分が葉緑体移行に特に重要であり,保存領域の上流域がないとCGSがミトコンドリアにターゲットされた。また,葉緑体移行に際して,MTO1領域の直ぐ下流でトランジットペプチドが切断され,成熟CGSタンパク質はMTO1領域を持たない。葉緑体移行と遺伝子発現制御に関わる領域の棲み分けが示された。 |
植物 | シロイヌナズナ |
リンク | http://pcp.oxfordjournals.org/content/55/10/1779.long |
著者 | 山下由衣,門倉嘉知,反田直之,藤原 徹,滝川一学,佐竹暁子,尾之内均,内藤 哲 |
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タイトル | Ribosomes in a stacked array: elucidation of the step in translation elongation at which they are stalled during S-adenosyl-L-methionine-induced translation arrest of CGS1 mRNA. |
雑誌名 | J. Biol. Chem.,,289, 12693-12704 (2014) |
要旨 | シロイヌナズナのCGS1遺伝子にコードされるシスタチオニンγ-シンターゼ(CGS)は,高等植物においてメチオニン生合成の鍵段階を触媒する。CGS1遺伝子の発現は,S-アデノシルメチオニン(AdoMet)に応答したCGS1 mRNAの特異的な翻訳停止とmRNA分解によって制御される。翻訳停止にはMTO1領域と名付けた十数アミノ酸残基の配列がシス配列として必要であり,MTO1領域直後のSer-94コドンで翻訳が停止する。Ser-94で停止したリボソームに後続のリボソームが追突して数珠つなぎになる。翻訳停止したリボソームに乗っている,tRNAとつながったままのペプチド(ペプチジル-tRNA)の分子種を特定することで,数珠つなぎになった後続リボソームの停止位置を特定した。その結果,リボソームはSer-94で停止したリボソームの後ろに9コドン間隔で連なっていることが分かった。また,CGS1 mRNA分解中間体の5’末端と数珠つなぎリボソームの位置は良い一致を示し,数珠つなぎになったリボソームとmRNA分解が密接に関係することを示唆した。 ピュロマイシンは,リボソームのペプチド転移反応の活性中心(PTC)に作用し,ペプチジル—tRNAから新生ペプチドを奪い取ることでPTCを阻害する。この反応(ピュロマイシン反応)を利用して,数珠つなぎになったリボソームの状態を明らかにした。 |
植物 | シロイヌナズナ遺伝子/コムギ胚芽試験管内翻訳系 |
リンク | http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC4007459/ |
著者 | 山下由衣,イングリッド・ランバイン,古林宗子,尾之内均,千葉由佳子,内藤 哲 |
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タイトル | A halt in poly(A) shortening during S-adenosyl-L-methionine-induced translation arrest in CGS1 mRNA of Arabidopsis thaliana. |
雑誌名 | Genes Gent. Syst.,88, 241-249 (2014) |
要旨 | シロイヌナズナのCGS1遺伝子にコードされるシスタチオニンγ-シンターゼ(CGS)は,高等植物においてメチオニン生合成の鍵段階を触媒する。CGS1遺伝子の発現は,S-アデノシルメチオニン(AdoMet)に応答したCGS1 mRNAの特異的な翻訳停止と,これと共役したmRNA分解によってフィードバック制御される。一般的なmRNA分解の最初の段階は,ポリA鎖の短縮化であるとされる。CGS1 mRNAにおける特異的な分解過程におけるポリA鎖長の変化を解析した結果,CGS1 mRNA分解が誘導されない条件では50−80塩基であったのに対し,分解が誘導される条件では140-150塩基であり,一般的なmRNA分解とは逆に,分解される条件下でポリA鎖が長かった。一方,CGS1 mRNA分解中間体のポリA鎖は10-30塩基であり,非常に短かった。翻訳中のmRNAは,ポリA結合タンパク質とキャップ結合タンパク質複合体との相互作用により環状構造をとっており,翻訳終結に際してポリA鎖を分解するデアデニラーゼがリクルートされると考えられている。AdoMet過剰でCGS1 mRNAの分解が誘導される条件では翻訳停止が起こるため「翻訳中」の状態が継続し,ポリA鎖の分解が起こらないと考えられる。一方,いったんCGS1 mRNAに特異的なmRNA分解が起こると,ポリA鎖は急速に分解されると考えられる。 |
植物 | シロイヌナズナの液体カルス培養系 |
リンク | https://www.jstage.jst.go.jp/article/ggs/88/4/88_241/_article |
No.9
著者 | 八木祐介、立川誠、野口久代、佐藤壮一郎、小保方淳一、中村崇裕 |
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タイトル | 植物オルガネラのRNA編集に働くpentatricopeptide repeatタンパク質 |
雑誌名 | RNA Biol.,10, 1419-1425 (2013) |
要旨 | 植物オルガネラのRNAの多くは、RNAレベルで特定のCがUに書き換えられるRNA編集を受けることが知られている。最近の研究で、植物特異的に大きなファミリーを形成するPPRタンパク質が、このRNA編集を含むさまざまな葉緑体、ミトコンドリアのRNA制御に関わることが明らかになってきた。最近のPPRタンパク質のRNA認識コードの解読により、このオルガネラRNA制御の鍵因子であるPPRタンパク質の詳細な機能がわかりつつある。本論文では、PPRコードと共発現データベースを用いることで、RNA編集に関わるPPRタンパク質の標的RNA配列を高速かつ簡便に同定できることを紹介する。また、PPRコードを用いた解析により、これまでRNA編集箇所の認識に関わると考えられていたPPRタンパク質に新たな機能がある可能性を見いだした。 |
植物 | シロイヌナズナ |
リンク | https://www.landesbioscience.com/journals/rnabiology/article/24908/?nocache=1939295965 |
著者 | 八木祐介、林晋平、小林啓子、平山隆志、中村崇裕 |
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タイトル | 植物オルガネラのRNA編集に関わるpentatricopeptide repeat (PPR)タンパク質のRNA認識コードの解読 |
雑誌名 | PloS One, 8(3), e57286 (2013) |
要旨 | Pentatricopeptide repeat (PPR)タンパク質は、植物で大きなファミリーを形成するタンパク質です。PPRタンパク質は35アミノ酸のPPRモチーフの連続、で構成され、オルガネラゲノムにコードされる遺伝子の様々なRNA段階での制御、成熟過程において、遺伝子特異的なRNA結合因子として働きます。本論文では、RNA編集に働くPPRタンパク質に着目し、その配列特異的なRNA認識機構の基盤:PPRモチーフと塩基が一対一で結合し、連続したモチーフでRNA配列を認識すること、さらにモチーフ中の3カ所のアミノ酸がプログラム可能なRNA認識コードを担うこと、を明らかにしました。このRNA認識コードを用いることで、未解析PPRタンパク質の標的RNA配列をコンピュータ上で推測できることを示しました。また、PPRコードの解読により、所望の配列に結合するカスタムRNA結合タンパク質構築のための基礎理論が確立しました。 |
植物 | シロイヌナズナ、ヒメツリガネゴケ |
リンク | http://www.plosone.org/article/info%3Adoi%2F10.1371%2Fjournal.pone.0057286 |
著者 | 大谷美沙都, 出村拓, 杉山宗隆 Misato Ohtani, Taku Demura, Munetaka Sugiyama |
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タイトル | シロイヌナズナRID1はpre-mRNAスプライシングに関与するDEAHボックス型RNAヘリカーゼであり、植物発生に必須である Arabidopsis ROOT INITIATION DEFECTIVE 1, a DEAH-box RNA helicase involved in pre-mRNA splicing, is essential for plant development |
雑誌名 | Plant Cell, 25:1990-2001 (2013) |
要旨 | 転写されたmRNAからタンパク質をコードしない領域であるイントロンを取り除く過程はpre-mRNAスプライシングとよばれ、真核細胞の遺伝子発現に重要なプロセスである。このスプライシングには多くのタンパク質が関与しているが、それらの植物における生理的役割についてはまだよく分かっていない。私たちはシロイヌナズナ温度感受性変異体 root initiation defective1-1 (rid1-1) の解析を通して、スプライシング因子であるRID1が植物発生において重要な役割を担っていることを明らかにした。rid1-1 は胚軸脱分化および新たな分裂組織形成の過程で強い高温感受性を示す変異体として単離されたが、詳細な表現型解析の結果、RID1機能は分裂組織の維持、葉や根の形態形成、雌性配偶体形成といった過程で必須とされることが分かった。RID1 遺伝子はスプライシングに関わることが予想されるDEAHボックス型RNAヘリカーゼをコードしており、rid1-1 では温度依存的なスプライシング効率の低下や選択的スプライシングパターンの異常が検出された。以上の結果は、RID1がスプライシング因子であることを示しており、pre-mRNAスプライシング能力制御が特定の植物発生過程に必須であることを示唆している。 |
植物 | シロイヌナズナ |
リンク | http://www.plantcell.org/content/25/6/2056.abstract |
著者 | 吉川 学 |
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タイトル | Biogenesis of trans-acting siRNAs, endogenous secondary siRNAs in plants |
雑誌名 | Genes & Genetic Systems, 88:77-84 (2013) |
要旨 | RNAサイレンシグは、小分子RNAの配列特異性を利用した遺伝子の発現調節機構です。高等生物においてこの機構は、発生や分化、環境応答など幅広い生命活動で重要な役割を果たしています。植物では遺伝子の発現調節に加えて、ウイルスなど宿主に対して有害なRNAを押さえ込むためにもRNAサイレンシグが働いています。しかし、ウイルスは増殖速度が著しく早く、また増殖量も多いため、植物がウイルスに打ち勝つためには、相当量の小分子RNAが必要となります。そのために、植物は有害なRNAを排除する一方、それらの有害RNAに対する小分子RNAを増やすための増幅機構を持っています。この総説では、植物において小分子RNAの増幅が起こる分子機構について解説しました。 |
植物 | シロイヌナズナ |
リンク | https://www.jstage.jst.go.jp/article/ggs/88/2/88_77/_html |
著者 | 伊藤秀臣 Hidetaka Ito |
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タイトル | Small RNAs and regulation of transposons in plants |
雑誌名 | Genes & Genetic Systems, 88:3-7 (2013) |
要旨 | 植物におけるsmall RNAとトランスポゾン制御についての総説です。siRNAの合成機構やそれを利用したトランスポゾンのエピジェネティックな制御について説明しています。また、植物の性細胞特異多岐なトランスポゾンの制御機構について、現在までに報告されている事例について解説しています。トランスポゾンは環境ストレスにより活性化する例が報告されており、その制御機構について解説しました。 |
植物 | シロイヌナズナ、タバコ、キンギョソウ、トウモロコシ |
リンク | https://www.jstage.jst.go.jp/article/ggs/88/1/88_3/_article |
著者 | 伊藤秀臣 Hidetaka Ito |
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タイトル | 小分子RNAと世代間シグナル |
雑誌名 | 実験医学増刊号, 31:1189-1194 (2013) |
要旨 | 実験医学の特集号「生命分子を統合するRNA-その秘められた役割と制御機構」は触媒活性のあるRNAを中心としてその周辺に様々な機能が付加された結果生命の誕生と進化をもたらしたというRNAワールド仮説を検証すべく進化的視点・革新的アプローチによる拡充するRNA生物学の総説をまとめたものです。その中で「小分子RNAと世代間シグナル」という題でsiRNAを介した抑制シグナルが世代を超えて伝えられるメカニズムについて進化の視点も踏まえて解説しています。 |
植物 | シロイヌナズナ,トウモロコシ |
リンク | https://www.yodosha.co.jp/jikkenigaku/book/9784758103305/index.html |
著者 | 崔 善熹, 薦田 優香, 中原 健二, 厚見 剛, 島田 涼子, 比佐 雄亮, 内藤 哲, 上田 一郎 Choi, S.H., Hagiwara-Komoda, Y., Nakahara, K.S., Atsumi, G., Shimada, R., Hisa, Y., Naito, S., Uyeda, I. |
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タイトル | クローバ葉脈黄化ウイルスによるエンドウ劣性抵抗性cyv1の打破にP3N-PIPOが量的および質的に関与する Quantitative and qualitative involvement of P3N-PIPO in overcoming recessive resistance against Clover yellow vein virus in pea carrying cyv1. |
雑誌名 | J. Virology., 87, 7326-7337 (2013) |
要旨 | 植物は、他の真核生物同様、一つのmRNAから一つだけタンパクを発現するモノシストロニックが基本です。しかしながら、植物RNAウイルスは自身の感染・増殖・移行に必要な種類のタンパクを発現するため、ウイルスRNAゲノム上に複数のタンパクを、時には重複してコードしており、これらを感染細胞で発現するためにさまざまな工夫をしています。その一つが、ウイルスゲノム複製もしくはタンパク翻訳時にエラーを起こしやすい塩基配列や2次構造をゲノムRNA上に持つことです。エラーによるフレームシフトでC末端の異なる2種類のタンパクを発現させることができます。クローバ葉脈黄化ウイルスClYVVを含むポティウイルス科のウイルスはP3遺伝子領域からP3タンパクの他に、このようなやり方でP3N-PIPOを発現します。今回、我々はClYVVのP3N-PIPOの発現量を増加させることで、ClYVVに抵抗性を示すエンドウにも感染できるようになることを見出しました。さらに、抵抗性を打破するClYVVのP3遺伝子が実際にP3N-PIPOを高発現することをin vitro翻訳系で再現することに成功しました。そもそもP3N-PIPOの発現メカニズムはまだ良く分かっていません。このin vitro翻訳系を用いてその解明を目指して研究を進めています。 |
植物 |
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リンク | http://jvi.asm.org/content/early/2013/04/18/JVI.00065-13.full.pdf+html |
著者 | 千葉 由佳子,峯田 克彦,平井 優美,鈴木 悠也,金谷 重彦,高橋 広夫,尾之内 均,山口 淳二,内藤 哲 Chiba, Y., Mineta, K., Hirai, Y. M., Suzuki, Y., Kanaya, S., Takahashi, H., Onouchi, H., Yamaguchi, J., Naito, S. |
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タイトル | 低温ストレスに応答したmRNA分解制御の網羅的解析 Changes in mRNA stability associated with cold stress response in Arabidopsis cells. |
雑誌名 | Plant Cell Physiol., 54: 180-194 (2013) |
要旨 | mRNA分解制御は定常状態のmRNAレベルばかりではなく,mRNAの変化速度にも影響を与える重要な制御段階である。我々は低温ストレス応答に関連したmRNA分解による遺伝子発現制御を明らかにするために,マイクロアレイと転写阻害剤処理を組み合わせた“mRNA decay array”によって低温ストレスによるmRNA分解速度の変化を網羅的に解析した。その結果,平均的な遺伝子においては,その低温条件下におけるmRNAの半減期が12倍に伸びており安定化していた。この一般的な変化を基準にして,より安定化あるいは不安定化した遺伝子群を同定したところ,多くの遺伝子が低温ストレスに応答してmRNAの安定性を変化させていることが明らかとなった。興味深いことに,不安定化した遺伝子はストレス応答あるいはホルモン応答関連のタンパク質をコードするものが多かった。これらの遺伝子はmRNAの半減期を短くすることによって,ストレス応答に必要な迅速なmRNA量の変化を可能にしていることを示唆している。加えて,不安定化遺伝子にはPPRタンパク質をコードするものが多く含まれていることが明らかとなった。本論文ではそのmRNA分解制御に関わると考えられる遺伝子配列の特徴についても議論した。 |
植物 | シロイヌナズナ培養細胞 |
リンク | http://pcp.oxfordjournals.org/cgi/reprint/pcs164.pdf?ijkey=MrZzCfxhVnz |
著者 | 吉川 学、井木 太一郎、筒井 康博、宮下 京子、R. Scott Poethig、土生 芳樹、石川 雅之 Manabu Yoshikawa, Taichiro Iki, Yasuhiro Tsutsui, Kyoko Miyashita, R. Scott Poethig, Yoshiki Habu, Masayuki Ishikawa |
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タイトル | miR173によって切断されたRNAはSGS3-RISC複合体によっての安定化されている 3' fragment of miR173-programmed RISC-cleaved RNA is protected from degradation in a complex with RISC and SGS3 |
雑誌名 | Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 110: 4117-4122 (2013) |
要旨 | RNAサイレンシングでは、20~24塩基の小分子RNA及びAGOタンパク質を含むRISCと呼ばれる複合体が、複合体中の小分子RNAに相補的な配列を持つRNAを標的として、遺伝子の発現調節に大きな役割を果たしています(本ホームページのRNA研究の基礎知識の「植物のmicroRNA」を参照して下さい)。植物では、21塩基の小分子RNAを含むRISC複合体によって切断された標的は、RNA分解酵素によって速やかに分解され、標的遺伝子の発現が調節されています。しかし、RISC複合体に含まれる小分子RNAの長さが22塩基の場合には、切断された標的RNAからさらなる小分子RNAができる「小分子RNAの増幅」が起こることが知られています。「小分子RNAの増幅」は、動物のような獲得免疫を持たない植物にとって、細胞に侵入するウイルスに対する防御システムとなっています。今回発表した論文で私たちは、RNAに結合する活性を持つSGS3というタンパク質が、RISC複合体に含まれる小分子RNAが21塩基であるのか、22塩基であるのかという、わずか1塩基の長さを区別して、22塩基の小分子RNAを含むRISC複合体で切断されたRNAのみをRNA分解酵素から守って、「小分子RNAの増幅」に振り向ける役割を果たしていることを明らかにしました。 |
植物 | シロイヌナズナ、タバコ培養細胞 |
リンク | http://www.pnas.org/content/110/10/4117.full.pdf |