A. これは2007年以前の地震発生数と比べて、2007年以降の地震数が「異常に」減少しているというご指摘ですね。A17-1でご説明した通り、地震の起こる回数は、多くなったり少なくなったり、ランダムに変動します。たとえ、2007年以降にまったく地震が起きなくなったと しても、それが「異常」であるかどうかは、統計学に基づいた「検定」をしてみないと判断できません。ランダムな変動の幅を越えて、「顕著に」減少しているかどうかは目で見た印象だけでは判断できません。
私は統計学に基づいて厳密に解析をしておりますが、現在北海道周辺で「異常な」静穏化傾向はまったく見られません。通常の地震活動レベルの範囲内に収まっています。
確かに積丹半島沖では1940年に地震が起きていますので、日本海東縁プレート境界で大地震が発生する可能性はゼロではありません。ただし、その確率は太平洋側のプレート境界に比べるとかなり低くなります。
あまり心配し過ぎて不安になりストレスで体調を崩す場合もあります。地震による被害よりも,そのような過剰なストレスの方が悪影響があると思います。日本海側の地震の確率は大変低いのであまり心配し過ぎないことが健康上大切だと思います。
(地震観測研究分野・勝俣啓)