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地震に関すること 火山に関すること 津波に関すること その他
質問と回答

Q14. 日本の一番高い山は富士山で、その富士山は火山で、いまでも活動していると聞きました。もし富士山がふん火したらひ害はどこまで、どのように出るのですか?どうすれば助かるのですか?(Q14:兵庫県・りんごさん・11歳)

A. 富士山は、活動を始めてから10万年ほどの火山であるといわれています。ずいぶん古いように思われるかもしれませんが、いっぱん的な火山の寿命(じゅみょう)から考えると、まだわかいといえます。ですから、これからもふん火する可能性は十分にあります。

ふん火により、どのくらいの地域にどのくらいの被害が起こる可能性があるかということを考えるためには、その火山で過去に起こったふん火が参考になります。富士山の場合、864年に起こった貞観大噴火(じょうがんだいふんか)では、北西しゃ面のちょう上とふもとの中間あたりから、2年ほどにわたって大量の溶岩(ようがん)を流しています。溶岩流(ようがんりゅう)は、ちょう上から20kmほどのところまで達しています。1707年の宝永大噴火(ほうえいだいふんか)ではばく発的なふん火で大量の火山灰(かざんばい)がふき出されて、現在の川崎市で5cm、江戸の町にも灰が積もったそうです。また、もっと以前のふん火では、2300年ほど前に富士山の東しゃ面で大きな山くずれが発生し、泥流(でいりゅう)が駿河湾まで流れ下ったと考えられています。富士山頂からのだいたい30kmくらいのところまでです。こうなると、ふもとの町々は大変なひ害を受けることになります。しかし、少なくともこれと同じくらいのことは、今後のふん火でも起こる可能性があることを知っておかなければなりません。

りんごさんがお住まいの兵庫県まで、直接的なひ害がおよぶということは、まずないと思われます。ただし、火山灰が多量にふき出した場合は、新幹線、高速道路、飛行機の運行ができなくなるなど、交通機関には重大なえいきょうがあるでしょうから、ふん火が長引けばりんごさん自身の生活にも、関わってくることは十分考えられます。

さて、どうすれば助かるのか、という質問ですが、多くの場合、ふん火が始まる前には、数時間から数日前には何らかの前兆的な異常現象(いじょうげんしょう)が現れますので、仮に富士山のふもとに住んでいたとしても、異常がわかってからふん火するまでに、ある程度避難(ひなん)するための時間がありそうです。また、ふん火が始まっても、小さなふん火ならば数10km以上はなれた地域への直接的なえいきょうはそれほど大きくならない可能性もあります。むしろ、ふん火が長引くことになると、経済(けいざい)活動に与える影響はとても大きなものになるかもしれません。大きなふん火の場合には、何ヶ月も前から、山がわずかにふくらんだり、地しんが増えたりすることが多いので、日頃からニュースなどの情報に注意しておくとよいでしょう。なお、気象庁のホームページでは、全国の活火山の様子について、定期的に情報をお知らせしているほか、観測データに異常が見られたときには、報道や行政を通じて、りん時的な情報を出すことになっています。もっとも大切なことは、富士山がいつかふん火する火山だということを、忘れずに常に心に置いておくことだと思います。(火山活動研究分野・橋本武志)